腐男子は鈍感不良に恋をする

□腐男子と不良、再会はまさかの展開で
2ページ/2ページ

〜昼休み〜

「屋上で飯食べようぜ!ついでにキヨ呼んでるからさ」
「おー!こーちゃん用意周到!」
昼休みを知らせるチャイムが鳴り終わると同時にこーすけは弁当を持って2人を屋上へ誘う。2人は弁当ではないのでいつも購買で適当に買うのだが、今回は買うパンや飲み物よりキヨと会うことしか2人の頭にはないようで。
「キヨってどんな性格かなー!」
「カッコいいけど、どっちかと言えば受け気質な気がするべ」
「ツンデレ!?萌えるー♡」
「それな!」
先程からこのような会話が何度も繰り返されていた。

○●○

2人は様々なパンが並ぶ棚でどれにしようか悩む。こーすけは購買で飲み物を買う為、先にパンを選ぶ2人とは別れて飲み物の場所にいる。
さんざん悩んだ末に、ヒラはジャムパンを手に取る。フジはヒラが決めたことに焦り、もう何でも良いという気持ちでクリームパンに手を伸ばした。
その時だった。
『…あ、』
隣でパンを物色していた人がいたらしく、隣の人も同じタイミングでクリームパンに手を伸ばしていた。
「…どうぞどうぞ!」
「いや、そっちこそ…」
遠慮するフジに隣の人までも遠慮してしまう。尚も譲ろうとしたフジは、そこで目の前の人物から酷く聞き覚えのある声が聞こえたことに気付く。
下げていた目線を上げると、そこには、つい先日見た端整な容姿の人物が。
「えっと…もしかして…キヨ、さん?」
「…は、え…?なんであだ名、知って………って、お前、こーすけが言ってた奴?」
2人は暫し見つめ合った後、フジはクリームパン、キヨはメロンパンを手に取り、それぞれ飲み物を買って屋上へ向かった。
その間はずっと無言だった。

*********************

「おー!遅かった…って、何故にキヨも?」
「購買で偶然会ったんだよ」
「おんなじタイミングでクリームパン取ろうとしちゃって、うっかり手が当たっちゃったんだよ」
「へー」
事情説明をしながらそれぞれ円になって座る。キヨとフジはそれぞれこーすけの隣へ、ヒラはキヨとフジの間へ座った。
「じゃあ改めて、コイツがキヨ!本名は清川拓哉」
「…っす」
「お前wなんか言えやwww」
「…うっせぇな。言うこと何も無いんだから仕方ねぇだろ」
殆ど喋らないキヨを笑うこーすけに、キヨは文句を言いながらその頭を軽くはたく。だが軽く、とはあくまでキヨの中での軽く、であったため、こーすけには痛かったようで、「いってぇ!?」と涙ぐんでいた。
「…おまえらはなんつーの?」
「へぁ?」
「…名前」
「あ、えっと、フジです!」
「ヒラだよ〜。よろしくね」
「……ふーん」
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ