いつか、また会いたい。

19歳の夏、当時専門学校生だった自分は夏休みを利用して、短期の自動車学校へ入学しました。

2週間の泊まり込みでの教習でしたので、友達と行く計画を立て、入学資料を取り寄せ、いざ手続きをしようとした時、友達が急遽、入学を取り止めたのです。

一人で行くのは嫌でしたが、社会人になる前に免許を取得しておきたかったので、仕方なく一人で入学の申し込みをしました。

案の定、夏休みと云う事もあり、友達同士での入学者が多数いらっしゃいました。

何とも言えない孤独感を味わいましたが、免許を取得するために来たのですから、「寂しい」等とは言っていられません。

しかも、2週間という限られた期間でしたので、焦りの方が勝りました。

宿泊先のホテルで「一人で2週間も過ごすのは・・・」と1日目の教習が終わり、ホテルへチェックインし、部屋へ行ってみると、全く見知らぬ女性と同室だという事が分かりました。

お互い挨拶はしたものの、よそよそしく、会話も弾みません。

そして、その女性は無言のまま部屋を出て行ったのです。

自分は、教習本を見ながらTVを見ていたのですが、部屋の外からリズミカルに「カッ!カッ!」と音がしてきたのです。

「何事!?」かと思い、ドア少し開けて見たところ、同室の女性がタップダンスの練習をしていたのです!・あまりにも驚き、挨拶程度しかしていない女性に対して大爆笑しながら「なぜ、タップダンスの練習してるの?!」「ホテルの廊下だよ!」と話しかけました。

彼女はテレ笑いしながら「今度、オーディションがあるの!」と。

彼女は、造形大学の学生で芸能関係に興味があり、将来は、表舞台ではなく、裏方の職業に就く事を希望していると教えてくれました。

ここでまた、自分のツボなのですが、裏方を希望しているのに、なぜだか、オーディションを受けるのです。

いろいろな事を経験する事が必要だという事で、受けていた様です。

この一件以来、意気投合し、教習所では一緒に食事をする様になりました。

お互い2週間の教習を終え、それぞれ地元へと帰りましたが、その後も頻繁に連絡を取り合っていました。

しかし、学校、大学を卒業し、就職をし、仕事の忙しさに感けて、いつしか音信不通になってしまいました。

芸能関係の裏方の職に就きたい。

と話してくれてましたので、TV番組のエンドロールに流れるスタッフの方々の名前を必死に見て、彼女の名前を探しますが、現在のところ、一度も確認する事が出来ません。

いつか、機会があれば絶対に会いたいと思います。

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