その他長編
□シンデレラ
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むかしむかしある所にそれはそれは美しい女の子がいました。少女の名前は#name#。
彼女の母親は早くに母親を亡くし、男手ひとつで育ててくれた父親は、彼女の15歳の誕生日を機に再婚をしました。
けれど、再婚相手の継母も連れ子である兄飛雄も彼女につらく当たるばかり、そして、災難は続き彼女の父も病で亡くなってしまったのです。
残された少女は召使のように毎日こき使われ灰を被り過ごしていたのでシンデレラと呼ばれていました。
――――バンっ!
大きな音を立て、扉が開く音がすれば、義理の兄である飛雄が部屋の扉を開け立っていた。
「きゃぁっ!おっお兄様!」
着替えの最中なのに、急に開けられた#name#はビックリしてすぐに近くの布で体を隠す。
「おい!俺の部屋、片づけたか?」
「いっ…いえ、お兄様の部屋は片づけるなと言われましたので…」
「そうだ。片づけてないならいい。入るなよ」
「はい。……」
話が終わり、早く出て行って欲しい、と#name#が視線を送れば、
「なんだ?」
と睨まれる。
「いえ…その、着替えをしたいので…」
と言えば、目を見開きしっかりとガン見した後
「そうか…わかった」
と言って出て行った。
「(今、しっかり半裸見て行ったよね………)」
やたらと私が嫌がることをする兄に困惑しながら素早く着替えを済ませた。
兄は母と違い、陰湿ないじめと言うより…いじめっ子の様な嫌がらせをしてくることにいつも#name#は困らされている。
夕食の準備をしようと下に降りれば、継母が珍しく上機嫌で話しかけてきた。
「あら!#name#、今日の夕食はあなたの分だけでいいわよ」
「え?どうしてですかお母様?」
「ふふっ、実はね。お城の舞踏会がありますの。」
「今日ですか?急ですね…」
「違うわよ。あなたは本当におバカな子ね。」
そう言うと持っていたセンスでバシッと頭を叩かれる。
「舞踏会は明後日の夜よ。これから飛雄を連れて洋服選びに行くの。夜は外で済ませるわ」
「そうですか…。分かりました」
素直に返事をする#name#に、継母は意地悪そうな笑みを浮かべて問いかける。
「行きたいとか言わないのね」
「舞踏会ですか?いいえ、私にはそんな場所似合わないですし。ちょっと賑やかな場所は……」
「もっと!悔しがりなさいよッ!…今回は、王子様の結婚相手を探すために開かれるそうよ。しかも、年齢や身分は問わないらしいわ」
「へぇー。で、お母様でも、いけるんじゃないかと踏んで、おめかしなさるんですね。」
たんたんと話を聞く#name#に「もっと食いつきなさいよ!」とキレる継母。そんな継母を横目に、しばらく考えた#name#は継母に急に向き直る
「お母様、私も行きたいです!連れてってください(お城でも農家でも早く嫁いでこの家から出よう…。)」
「ふん!今更何よッ。あんたなんか連れて行くわけないでしょ!」
けれど、#name#の願いはあっさりと拒否されてしまう。
「まぁ、でも、舞踏会に来て行っても恥ずかしくないドレスがあるなら。連れて行ってあげる」
「ほっ!本当ですか?」
それを聞き、嬉しそうに笑う#name#。そして、二階にかけ上がっていった。
その様子を飛雄が陰から見ていたとも知らず、#name#は急いで母の残してくれたドレスを探しに行ったのだ。
舞踏会当日の夕方。
徹夜で直しを終えたドレスを着ようと部屋に戻ると、そのドレスはボロボロに切り裂かれていた。
「そっ…そんなッ!酷い。誰がこんな事…」
そのドレスを握りしめ、泣いていると継母が部屋を訪れる。
「#name#?ドレスはあったの?…なっ…何そのドレス!?そんなボロボロのドレスを着ていくつもり?」
「違いますッ!これはっ…」
「悪いけど、あなたはお留守番ね。飛雄、行くわよ」
悲しみに打ちひしがれる#name#だったが、継母はお構いなしとばかりに兄を連れ家を出る。
「ぅ…ふっ…」
涙を流しながらも、お見送りをしないと怒られるので、立ち上がり、涙を拭きとると、二人を玄関まで見送る。
「行ってくるわね。」
「いってらっしゃいませ。」
「じゃあな」
去り際に、兄がニヤリと笑った気がし、#name#の身体に嫌な汗がながれた。
「あの顔、あのドレスは兄の仕業ね……」
そう思ったけれど、なんだか嫌な予感もする。けれど、#name#は深く考え無いようにした
それから、掃除をして、片付けをして………忙しく過ごすけれど
けれどやっぱり気になる…
あの兄の笑が気になる
舞踏会の事