うしなううた

□これから。
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「アイゾメショクニン-藍染職人」

窓を作ったら
何か「素敵」が見えるって
昔聞いた事があるのを
思い出した。

未来へ進む旅路。
用意した靴は何時の間にか
小さくなりすぎて
履けなかった。

踏み出す一歩のタイミングが
遅かったと気付いた瞬間。

生憎、裸足で駆け出す勇気も
何時の間にか
落としてきたみたいだ。

途方にくれて
縋る思いで作った窓を
見つめて息を呑む。
肌色の縁を雨がたたく。

誰かどうか御願いです。
綺麗な藍色に染めて下さい。

どこに居ますか?
藍染職人。
僕の肌色を藍色に。
どうかどうか染めて下さい。

僕の履けない靴。
僕の無くした勇気。

これ以上何も無くさないように。

どこに居ますか?
藍染職人。
僕の肌色を藍色に。
どうかどうか染めて下さい。

この目が醒めるような
色彩を僕に。
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