Clap*

□そうやって君はいつも無理をする。
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「泣いてるの、」



「泣いてない、です。」



「うそつき。」



「そんなんじゃ、ない。」





しゃくり上げるせいで言葉が途切れる。

嫌われたくないのに、開いた口から出るのは可愛さのかけらもない言葉だけ。





「どうしたんよ、わしに言ってみ?」





ほら、まただ。子供扱い。
(お母さんはなんであたしをもっと早く産んでくれなかったんだろうか。)





「かんけーない、ですよ、新藤さんには。」



「当ててあげげようか、

彼氏に浮気された上フラれた。」



「違い、ます。」





どんなに新藤さんのこと想ってても
伝わらなくて、
報われなくて、

そんな時ちょうど告白してくれて付き合った彼に本気になりかけてたら、

浮気されてフラれた。
ですよ、正確には。


そんなこと口に出来る筈も無く、また溢れて来た涙を拭った。





「あーもう、そんな泣かんの。」





そう言いながら何をしてくれるわけでも無く、隣で苦笑いを浮かべる。



(優しさが、痛い。)





「優し過ぎるんです、よ。新藤さんは。」





「じゃあそんな優し過ぎるはるいちくんはもう一個だけ優しさをプレゼント。」








「優しくしてあげるからわしの彼女になってくれませんか。」





「…しんどうさんのばぁか。」



「可愛くないなあ、」



「知ってますよ、そんなこと。」










そうやって君はいつも無理をする。
(これで僕が君の涙を拭う
理由が出来たわけだ。)


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