アイス×KAITO作品

□アイスとドーナツはなかなか合うと思う
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広い荒野に、複数の人影。
二つの陣に分かれた影は、互いを睨み合っている。
どちらも言葉を発しない。
両者の間に、緊迫した空気が流れる。
聞こえるのは、駆け抜ける風の音のみ。

やがて、片方の陣の先頭に立っていた青い髪の青年が、ゆっくりと重い口を開いた。

「……村田、返せ」

もう片方の陣の先頭に立つ男――村田と呼ばれた白い服の男は、ピクリと眉を動かす。
しかし青の彼を見据えたまま、その場を動くことなく言い放った。

「……断る」

物怖じしない言い方。

「なかなかしぶとい奴め…」

村田の態度に、青い青年はギリ、と歯を食いしばった。

「貴様こそ、それを返せ」
「イヤだね」

奪ったものを後ろに隠すように置き、青の彼は僅かに後ろに下がる。
その時、強風が彼らを襲った。
砂埃が舞う。
小石が顔に飛ぶ。
そして鼻をくすぐる――…

…甘い香り。

「アイス返せぇぇええ!」
「ドーナツ返せぇぇええ!」

二人は同時に地面を蹴った。

「うおぉぉおおお!」
「うおぉぉおおお!」

距離が縮まる。
村田は拳を作り、渾身の力をそこに込めた。

――ずっと、この時を待っていた。

その様子に気づいたのか、青の君も拳を作った。
そして高くふり上げる。

村田は思った。

――ようやく彼、KAITOとの戦いに終止符が打たれる。

「終わりだカイトぉぉおおお!」
「村田ぁぁあああ!」

村田はその腕を、目一杯の力で振り落とした。
そしてKAITOも、彼の拳を――…


スッと下げた。
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