こんな事になるなんて予想しなかった 嬉しいよ、嬉しいんだけど、スッゲー嬉しいんだけどね あんまりやられると、自制が効かなくなってきちゃって… ○オレンジデー○ 「おっはよ〜 朝ですよ〜竜君〜vv」 下から甘ったるい声がしてきた。毎日聞いてる声。 よく、声も似てるっていわれるけど、俺もあんな声してんのかな…。 「あっれー…竜ってば〜!!ご飯出来たよ〜」 「…あぁ、今行く〜……」 今週は萩の家事当番なので、俺は存分に寝た。 と言っても萩は家事全般がトコトン苦手なので、萩の作る朝食は、 「ご飯」と「前の日の夜に俺が作った味噌汁」「冷凍食品のおかず」になってしまうのだが…… でも、今日は授業シャッキリと起きてられそう。 って、ぼーっとしてちゃいけないんだけどね。 食事が終わり、支度をして玄関まで来た所で妙に甘ったるく話しかけて来た。 「ねぇねぇ竜〜。今日は帰って来るの遅いの?」 なんだこの、新婚夫婦みたいな会話…。 そんなことを思いながら俺は答えた。 「え?別に…今日はまだ部活も始まってないし、入学してからそんなに経ってないし。早いと思うけど…?」 「そー?んじゃぁ、早めに帰って来てね!」 へ?な、なんなんだよ…朝っぱらから。いつにも増してなんか嬉しそうなんですけど…。 思い当たる節が無い。いったいなんだっていうんですか! 「うん、別に今日は野暮用も予定も無いからね。」 「んじゃぁ、今日も浮気しないように行ってらっしゃ〜い♪」 …いつもながら、なんなんだよ…コノ決まり文句…。 それでもいつも気にかけてくれるのだと思うと、嬉しく思えてしまう自分が悔しい。 俺は自転車で駅へ、萩も違う駅へ自転車で向かった。 本当は同じ線からでもいけるんだけど、違う駅からの方が早く着くらしい。 走り出すなりアイツは楽しそうに口笛を吹いていた。 ---イヤ〜な予感がしてならないんですけど。 そんな朝から今日が始まった。 帰って来た時に、美味しそうな料理の匂いがしてきた。 「ただいま〜…」 「おっ!!やっと帰ってきた〜 お帰り」 リビングに入るとまだエプロン姿の萩が居た。 いつもながらに可愛い…って何考えてんだぁ〜〜〜俺!!! でも、萩は本当にそこら辺の女よりも全然可愛いし、綺麗だ。 似てる、そっくりだ、と言われても、自分も可愛いとは認めたくないけどね…。 「はい、プレゼント!!」 「へ?」 色々思考を回している時に喋ってきたので、素っ頓狂な声を上げてしまった。 「知ってる?余り知られてないけどね、今日はオレンジデーって言う日なんだよ。」 ---4月14日の今日。バレンタインデー、ホワイト・デーに次ぐ今日。恋人達が愛を確かなものにする日。 「それでね、オレンジ色のプレゼントもするんだって!!だから、はいっコレ。」 「そうだったんだ…ごめん、俺知らなくてさ、何も用意してない…」 「全然いいよ、そんなの。その代わりね…」 「ん?」 「竜が欲しいな♪」 「あ゙ぁ?!」 …この子、ココまで計算済みかっ!!俺が知らないことを知っていて、それで教えずに…!!! 「まぁ、それは後でいいや。それより早く食べよーよ!!せっかく作ったのに冷めちゃう〜」 「……う、ん…」 まぁ、さっきの事の対策は後で練るとして… 俺は食卓に目を向けた。 「おぉ、すっご〜い!萩すっごい頑張ったじゃん!!普段料理しないのに……全部手作りしたの?」 「う〜ん、一部冷凍食品混じってるけど、かなり頑張ったよ!!」 「すごいすごい!すっごい美味しそう♪」 「へへっvv」 萩はあまり家事は得意ではない。 だから料理も得意では無く、出来ないに等しいが今日はレシピにかじりついて頑張ったらしい。 ---って、アラ? 「なんで、ワインがテーブルに乗ってんの?」 「へ?記念日だから、少しくらいいいじゃんかw」 おいおいおい…俺まだ1回も呑んだこと無いよ。大丈夫かな…?てか、俺等まだ未成年だっつーの。 まぁ、たまにはいっか。(って、俺も甘いって) 「はいっカンパーイ!!」 「乾杯」 初めての酒。まずは一口ぐびっと… って、うぉ…?!何だコレ…クラクラして来た… もしかして、もう酔った?でも、なんかフワフワしてて気持ちいぃ〜… 「な、何?どうしたの竜!!」 「え〜?何って何がぁ〜」 呂律の回らない、舌足らずな声で答えた…。 ---うぐっ、やばい。キたかも… ![]() 「えっ?!もしかして、もー酔った?」 「なんかフワフワ〜 お酒って美味しいんだねぇ」 「…俺が強いから、竜も強いかもって思ってたけど、竜は極端に弱かったんだね……」 「なぁ〜に萩ぅ〜さっきからゴチャゴチャと〜…っふぃ〜〜……」 潤んだ目で見られてドキッとした。 普段、あまり誘うような行動をしない為、余計に心臓の鼓動が早くなる。 こ、これ以上はまずい…耐えられん…っていうか、誘ってるそうにしか見えないんですが… 「あぁぁ〜!!そーだ!萩、プレゼント俺が欲しいっつってたよねぇ〜」 「え、あぁ、うん。言ったけど…」 「んじゃぁ、あげるぅ〜 ハイっ!!どーぞぉ〜」 そういって竜は、俺に抱きついてきた。 「え、ちょ、ちょっと竜!!本当に大丈夫?」 「好きなよーにしていーよ…」 動揺してる俺をよそに、甘い響きを持たせて言ってきた。 潤んだ瞳でフワっと微笑んで来た…貴方、何処でそんなの覚えてきたのですか! 「…んぐっ…?!」 イキナリ口を塞がれた。 酒が回っている竜の口内は熱い。それに反応して、俺の体も火照ってきた。 「はーやくぅーおれ、がまんできなくなっちゃったよー……」 そ、そんな泣きそうな顔で見上げないで〜!! 「わ、分かったから…。でも、ココじゃ腰痛くなっちゃうよ?ベット行こう?」 「やーだぁ!!もぉ我慢できないも〜ん」 「わ、わかったよ…」 俺は竜をせめてソファーでと思い、姫抱っこで移動させる。移動中、竜は俺の胸に頭を擦り寄せてきた。 「ん〜萩、すごいいいにおい……」 ---もぉぉぉ〜!!だから、自制効かなくなっちゃうってば!! 普段甘えることのない分、甘えられると可愛くて可愛くて仕方が無くなる。 と、見惚れてソファーに竜を置いた時、俺の下半身に激しい刺激が走った。 「---っ!!?」 「あはは!!もうパンパンに勃ってるじゃんかぁーww」 「あ、ちょ、ちょぃとお待ちよ、竜君!!な、何してんの?!」 「えぇ?辛そーだから楽にしてあげようと思って…?」 そう言って、俺のズボンのチャックを下ろし始めて… 俺自身を取り出して、口に含み始めた。 「あっ…!!!なにやって…っ…」 普段竜はこんな事絶っっっ対やってくれないし、やらしてもくれない。なので俺は内心物凄く焦った。 い、いや嬉しいんだけど…嬉しいんだけどもね…でも…… 「---っ」 「れぇ、きもひぃ?」 口にくわえながら、上目遣いで訊いてきた。ヤバイ。もうイきそう…限界点がいつもより全然早い…… 「も、もー離して…おねがい……」 「ふぇ…?イき…そーらの?」 「う、ん。もうほんとヤバいから離し…て……つぅっ!!!」 「---っ!!」 俺は竜の口内で果ててしまった。竜は咽ている。 って、え?! 「…ゲホッ……ん゙っ…ゴホっ……っ…」 「りゅ、竜?!まさか飲んだの?!」 「ゔへ〜きぼぢわりぃ…」 「そ、そんなの飲んだら体に悪いよ!!(多分)」 「ゴホっ…別にいいよ…萩のだから……」 俺は竜の背中を擦りながら、竜の愛を感じた。 美味しくないはずなのに…俺のだから別にいいと言って… 心配したけど、嬉しくないはずが無い。 「しゅー…」 「--っ…ん?」 甘えた口調にドキっとしながらも、懸命に平静を装った。 「俺…スッゲーねみぃ…」 「え?竜、辛くないの?」 「なんか、萩のやってたら勃ってきちゃったけど、竜がイった時に一緒にイっちゃったから……」 恥ずかしいのか、顔を隠すように額を俺の胸に擦り付けてきた。 そして、俺の背中に手を回して、「おやすみぃ〜〜…」と言った。 本当はもっとしたかったけど、もう十分だった。 俺は竜の体を優しく包んで、「うん、お休み。」と言って額にキスを落とした。 酔いも回っていたせいで、竜はすぐに静かな寝息を立て始めた。 俺は竜の可愛くて仕方が無い、安心しきった寝顔と、嬉しい気持ちを存分に楽しんだ。 ![]() 翌朝、俺は何故か萩に抱かれて寝ていた。しかもソファーの上で…。 あれ…?何で俺、こんな所で寝てんだ……? でも、まだ4月の朝は少し肌寒い。 そんな時に、萩の体温が感じられて、とても暖かくて気持ちいい。 ---って、お゙ぉぅぅぅ??!!あ、頭がいてぇ…ガンガンする…。なんか、気持ち悪いし…。 なんだ、なんだ、なんなんだ??? 頭を抑えてジタバタしていると萩が目を覚ました。 「---おはよ〜ぅ…」 まだ、寝ぼけているらしい…。 「ねぇっ萩!!君、俺になんかしたの?!」 「へ?何頭押さえてんの?なに、頭痛いの?」 「何か知らないけど、起きたら頭痛いわ、気持ち悪いわ…てか、何で俺は萩に抱かれてソファーで寝てるのっ!」 「えぇ?!竜、昨日の事何にも覚えてないの?」 「き、昨日…?」 「そうだよ、オレンジデーだからっていってワイン飲んだでしょ?一杯しか飲んでないのに竜ったら酔っ払って…。それで…その…酔った勢いで竜は…」 ---え、何?何なんなの?俺が何したって言うんだよ〜!!何にも覚えて無い…くっそ〜頭痛い〜…!!コレが二日酔いってヤツですか……? 「それで、酔った勢いで俺が何したって言うの。」 「えっ、覚えてないの、竜?!それで、プレゼント俺が竜が欲しいって言ったから、あげる〜って言ってきて…。誘ってきて…それで---」 「あ゙ぁ〜〜〜!!もういい!!なんとなく分かったから、もうそれ以上言わないで!!もう、最悪だあぁぁ!!!!!」 何か俺、もういろんな意味で泣きそう… 「……もう、絶対酒なんか飲まない………」 そう心に誓った俺だった。 ※朝と翌日の1人称は竜で、竜 が酔っている間の1人称は萩 です。 |