ケロロ軍曹

□真実の仮面、虚像の鏡
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長らく一緒に居たにも関わらず、私の後頭部に冷たい金属をあてがって言い放つ。

これが、本来の関係だ。

同時に優しいギロロを思い出す。運動会の二人三脚の時、チョーカーの時、節分の時、私が困ってる時に手を差し伸べてくれた。
とっても頼もしかった。
だからその言葉を放ったギロロが、軍神マルスの仮面を被った様にしか見えなかった。
でも、本当はその仮面の方が真実なのかもしれない。
ギロッペは地球侵略にモタついてる隊長のボケガエルの手さえ撥ね除けた。
現状を変えるが為に。
だから元のギロロに戻るのを嫌悪した。オリジナルのギロロが、変わる事を欲求していたから。
超自我であってエス、エスであって超自我。

次にギロッペと対をなし、臆病なギロりん。
確かに、幽霊話が大の苦手だからなぁ。でも、それだけじゃない気がする。
冷酷非情、残忍無慈悲なギロッペがいるのに、何であんな怖がりな子がいるの?
侵略なんて怖い事止めようよ、とか言ってたし…まさかあの子、ギロロが臆せず戦える為にギロッペを…
そっか、だからあの銃を突き付けた時のギロロが、無理をしているように見えたんだ。
どっちみち、あの子は<エス>なんだろう。

そして、喋り方に妙な特徴のあるギロぽん。
彼の台詞を思い出す。
夏美、hold me tight!!
…なんでだろう。以前ギロロが言ったような記憶があるようなないような。
このまま二人で…静かな南の島で暮らさないか?
…まったく意味がわからない。
どっから南の島が来たのよ。

サブロー!お前は本当に、夏美を愛しているのか!?

あの台詞は衝撃的だった。

まさか、ギロロの口から…といってもギロぽんだけど、<愛している>なんてフレーズが出るなんて。
「やだ、なんで顔が赤くなんのよ…」
体温と鼓動が高まるのが自分でも分かる。
いつもいわない事ばっかりいうギロぽんは、多分<エス>じゃないのかな。

「そういえば、多重人格って冬樹の管轄外じゃない?」
今になると、冬樹が持っているのは不自然だ。
ああ、多重人格といえば桃華ちゃん…
「なるほどね。思春期に好きでもない女の子の手なんて握らないもんね。」
やはり気になるから調べたんだろう。
「…気になるから?」
自分の内心の言葉が、ひっかかった。
「ちょっ…、何で私ギロロの事調べてんのよ!?」
気になるとかじゃなくて、地球侵略をさせない為よ!!そう!!
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