ケロロ軍曹

□緋衣草
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日向家沈没の危機を回避した、ケロロ小隊、モア、日向家、子猫。
そして、沈没状況探索に出動したまま消息が途絶え、音信不通・行方不明になったギロロ伍長が、その24時間後、発掘し、生存が確認された。

「うっわ〜、よく生きてたわねギロロ。」
いくら地球人とケロン人では必要酸素量が違えど、長らくのほぼ無酸素状態。ケロン人の丈夫さの賜物だ。
ギロロはケロロに肩を支えてもらいながら、ふらふらの足で、掘り出された旧・ガンプラルームから救助された。
「はあっ…」
咳き込み膝を吐くと、多少むせ返る。
「ちょっと、大丈夫ギロロ!?」
今回は洒落にならないので、夏美は慌ててギロロの背中をさすった。
「!!」
途端、ギロロは蛙のように―――実際蛙といっても語弊はないのだが―――飛び跳ねて出し抜けに距離を開く。
「あ、ああ、だっ、大丈夫だっ!」
顔を更に真っ赤にしたギロロを見て、ケロロがププッと笑いを吹き出す。
「ゲロゲロ、ギロロどんくさっ。」

ガツン

「喧しい!」
ケロロはいつものようにギロロの鉄拳を食らった。衰弱して動けないと誤認したのだろう。
実際、ギロロは小型地底探査艇「みつだわ」のドリルを壁に突き刺してしまい、身動きがとれなくなった(その上捕えられたドリルの反動で本体が回ってしまった)ので確かにどんくさい。
「うぇ〜、夏美殿〜!ギロロがいぢめるでありま〜す!」
泣きながら夏美に縋りつくケロロ。
「はいはい、ギロロー、無闇に怒ったら体に悪いわよ。」
ケロロはギロロの目の前で夏美に抱っこされながらあやされてる。
「!!」
『な、何故だ!?何故ケロロが聖女マリア(※ギロロ視点)のような夏美の、天使…いや女神(※ギロロ視点)のような抱擁を許されているのだ!』
いつもそうだ。この間の温泉だって、俺が来た時は拒絶したくせに、ケロロやタママ達にそんな反応は示さなかった。
悔しい、惨め、嫉ましい、とはこの為にあるような言葉だ。
「ケロロ貴様、軍人のくせに泣くな!」
苦し紛れに言い放つ。
「え〜っ、ギロロだってよく泣くじゃん。」
ああ、そういえば、こいつがやる気を起こした時によく瀑布の涙を流してしまうが、いつも成果は水分の大量消費と失望だけで終わってしまう。
これ以上、冷戦(※口喧嘩)しても果てしないので、言い返すのを諦めた。
「…もういい、俺はテントに帰って休養する。」
テントが泥だらけなのは分かっている。だが、日向家には…侵略者の俺の居場所なんてない。

「はあ?あんた何言ってんの。」

俺の足は、夏美の声によって止められた。
「あんな泥まみれのテントで、どう休養するのよ。」
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