ケロロ軍曹

□さよならは言わない
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―――別名、『戦場の赤い悪魔』

一度(ひとたび)戦場に現われれば、彼の周りに残るのは肉塊か血溜りのみ。
紅く、赤く。

彼は、恐れられていた。

「…ロ…ロ!!」
朦朧とする意識の中、幼なじみの声が聞こえる。
「ギロロ!ギロロ!」
流血で血が入った目を重く開けると、例の奴の顔があった。
「ふっ…やはり貴様か…俺とした事が気絶するなんて…」
こうしていつ死ぬかもしれない命になった今でも、こうして友達でいてくれる。
…が、

バキィッ!!

「せからしか!!人が心配して来てやったに何格好つけとんと!?」
俺は殴られた。再び意識が混濁する。
「た、隊長、あまり強く殴りすぎでは…」
アサシンの精鋭・ゼロロ(ドロロ)兵長の言葉に、今更焦るケロロ。
「しまったぁ〜!!うう、ギロロ…いい奴でありましたのに…」
勝手に殺すなよ。
「…ゼロロ兵長…」
「隊長?」
ケロロはギロロに応急処置を施しながら、彼らの幼なじみでもあるゼロロに話し掛けた。
「ギロロは、我輩達より軍の方が大切なんでありますよね?」
「ギロロ君…変わったのかな…」

違う。

確かに俺はケロン軍の為なら死ねる。だが、俺は焦っていたみたいだ。
軍曹のお前を、超えたかったから―――

あの日の夕日は、身を血で染めるように、紅く、赤く。




【ギロロ さよならは言わない であります】


 
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