1時間目・短編小説

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「なぁ、ヤス。知ってっか?ライオンはな〜、実は猫なんだぞ?」

「んぁ?ぐっちゃ、ライオンはライオンだっぺよ!!」

「ちげ〜んだって!!アレの鬣(たてがみ)は外れるんだって!!ヤスは騙されってっと?」

「ハハハハ!! したら俺、ずっとライオンに騙されてたのか!!!(笑)」



ぐっちゃは笑った

ヤスはバカだな〜って言って笑った



笑い疲れたぐっちゃは本を横に置いて眠り始めた

目が覚めたら、きっと同じ話を俺にする

そしてまた笑うんだ

ヤスはバカだな〜って言って笑うんだ



ぐっちゃは病気になった

脳にあるなんとかってのが壊れたんだってユッケが言ってた

意味分かんねっつったら「記憶すんのが出来なくなったんだ」って教えてくれた



ぐっちゃは毎日毎日同じ本ばっかり読んでる

ライオンとかキリンとか意味わかんねー宇宙人みたいなのがいっぱい出てくんだ

して、今みたいに俺に楽しそうに説明すんだ



もう何回も聞いた

ぐっちゃが読んでる本だって覚えるぐらい何回も読んだ



でもぐっちゃは毎回初めてなんだ

読んで、笑って、寝て

んで、起きたらまた本読んで笑うんだ



バカだな〜ぐっちゃは

でも

こんなぐっちゃ残して死んだたつおはもっとバカだな


【 終 】

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