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□貴方と2人
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「こんなの嘘よ!!貴方が死ぬなんて!!」
ただ、時間だけが過ぎて行く…
貴方がいない…悲しい時間だけが…
もっと触れ合いたかった…
もっとずっと側に居たかった。
でも、もうそれも出来ない…
貴方は…もう…いない…
「お市様ーっ!!」
秀吉は、戦が終り市を迎えに来た…
「秀…吉…?」
市の細く、白い華奢な腕には長政の亡骸があった。
秀吉は一瞬戸惑った、別れを惜しむ市を、このまま連れて行っていいのか。
相手は亡骸とは言え、自らの愛した者…
秀吉には、嫌でもこの気持ちは分かる。
自分自身、孫市という無二の親友との最期の別れは…辛かった、このまま孫市を胸の中に抱き締めておきたかった…
しかし、自らの場合は雑賀集の者が、孫市の亡骸を何処かに運んで行った為、そうはいかなかった。
それに自分には目指す物があった、ダチとの約束…破る事の許されない!
しかし、お市様の場合はどうだろう…?このままの方が幸せなのではないだろうか?
所詮、市にとっては織田軍全員がカタキ…最愛の人を敵に回した…敵。