キリリク

□風邪
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「秀吉様の風邪なら…移っても…良い…」



妙に色っぽいこの少年に秀吉は警告サインを発した。



ヤバい…何かがヤバい!


その時、またも障子が開く。



先程とは違い、次は勢いよく開いた。



「御待ち下さい!蘭丸!!」



「光秀殿…!」



秀吉は助かったぁ、と大きく溜め息を吐く。



「光秀様…」



小さく舌打ちする蘭丸…


光秀はソレを見逃さなかった



蘭丸の腕を掴み、立ち上がらせ、部屋の外へ引っ張り出す。



「痛っ…!離して下さいませ!」



キツく握られた手を振り払い、光秀を睨み付けた。



「彼は貴方の者ではありません…!」



小さな声で言い放ち、蘭丸はその場を後にした…


「光秀殿ぉ…あの、すいません…」



頭を掻きながら、秀吉は光秀に御礼を言う…



しかし、光秀からは何の反応も無く、只一点を見つめボーッとしている



??



「光秀…殿?」



秀吉はフラフラと立ち上がり、光秀の側へ寄る。


蘭丸の先程の言葉が気になり、光秀は未だ俯き続ける…



その時、秀吉が自らの胸に飛び込んで来た…



!!



その行動に光秀は顔を赤らめる…



「!!秀吉殿…!?」



大きな瞳を潤ませて(熱のせい)上目使いで光秀の顔を覗き込む。



「いやぁ〜すいません、熱で足がフラフラで…」


ハハハと笑いながら言う秀吉…だが光秀には、そんな言葉はもう聞こえていない…



「秀吉殿!!」



勢いよく秀吉の肩を掴む光秀…



「は、はい!?」



あまりに真剣な表情に、秀吉は身体をびくつかせた。



「私は、…貴方を…」



「光秀…殿?」



「貴方の事が「秀吉ぃー!!」です!」



……



光秀の真剣な愛の告白はドデカイ声で消し去られた。



「勝家!おみゃあも見舞いに来てくれたんきゃ!」



「フンッ馬鹿は風邪をひかんと言うが…珍しい事もあったもんじゃ!」
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