小さなお話し
□最後のキスに小さな願いを
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※『カラッポの器に愛を』の続編
前作はこちら→カラッポの器に愛を
ディーノさん視点です。
前作と同様に性的表現を示す単語があったり、暴力的な表現があります。
親父の紹介で初めて会ったのは、オレがまだ中学生くらいの頃だった。
遠い親戚で、キャバッローネの日本での主な取引相手である雲雀財閥の子供。
駆け落ちした両親は死に、育て親であるお祖父さんたちに疎まれ、愛を知らずに生きてきた子供。
孤独な瞳は静かで、それでいて透き通って…子供ながらに魅せられた。
幼い心に恋愛という感情の意味が理解できるはずもなく、ただ純粋にずっと一緒にいたいと思った。
イタリアからは遠く離れた日本に、当たり前のように通うようになって。
「おにーちゃん」
小さな手で玄関の扉を開けて、笑顔で名前を呼ぶ少年が愛おしくて。
仕事の合間に彼の好きそうなものを調べては、お土産に持っていったり。
彼が言えば、どんなワガママでも叶えてやった。
最初は公園からの帰り道におんぶしてほしいという小さな願いから始まって、フランスの名店のケーキをねだったり、誕生日に日本に来てほしいと言ったり。
彼が一人でさびしい思いをしているのは、まだ子供だったオレから見ても明らかで。
そうやってワガママを言われるたびに、自分が必要とされているのだと思えて嬉しかった。
今となっては、小さな身体に大きすぎる恋だったと思う。
きっと気づいてしまっていたら、簡単に押しつぶされてしまうくらい。
でも…いっそこと、もっと早く気づいていればよかった。
ずっと年下だとか、同性だとか、そういう罪悪感に押しつぶされて、あきらめてしまえば…
こんなふうに歪んでしまうことは、なかった。
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