小さなお話し

□大人の事情と子供の関心
3ページ/3ページ




クチュ、と耳を塞ぎたくなるような粘膜が触れ合う音がして、口の中を侵される。







頭が真っ白になって動けないでいる僕は、ただその行為を目を開けたまま受け入れていた。







「…ん。」


彼が小さく声を出した後、チュッというリップ音と共に唇が離れた。











「…………」


あまりのことにまだ何も言えない状態で、僕はただ呆然としたまま動かなかった。




「へへ、我慢できなかった。」


さっきとガラリと変わって、ニコニコと爽やかに笑いながら彼は僕に言った。






「…」


「恭弥?…キョーヤ?
やっべ、ちょっとやりすぎたか?」


「…」


「わ、悪かったって。
でもこれでもだいぶ我慢してるんだぜ?」


「君さ、」


「うん?」





「死ねばいいよ。」










すぐにトンファーを取り出して、彼に向かって振り下ろす。




「うわっ、…あ」


すぐに後ろに引こうとしたようだが、いきおい余ってか足がもつれて勢いよく転ぶ彼。



とどめとばかりにトンファーを振り上げた時、急に屋上のドアが開いた。














「ボス、遅くなったな…
って…どんな状況だよ。」


ドアを開けたのは、黒い服のおじさんだった。
そうとう老けてはいるが、いつもの黒い服の人…金髪の外人の部下だろうとわかる。




「遅いぜロマーリオ。」


「で、また転んでたのかボス。」


「う、うるせー!」



転んだままの彼を見て、ふうとため息をついた後、僕の方に視線を移した。

なんだかさっきのことを考えると恥ずかしくなって、思わず口元を見られないように袖で隠す。



「で…恭弥か?
なんで口元押さえて…なんか顔も赤いような気がするし…

………

…ボス。」


「ろ、ロマーリオ…」


「あれだけ手を出したら駄目だって、リボーンさんにも言われたじゃねぇか…」


「ロマーリオが遅すぎるからいけねぇんだぜ?
大丈夫だ、チューしかしてねぇから。」






顔から火が出るかとおもった。






「…っ!
この変態っ!!」


一度止めたトンファーを再び振り上げて彼に攻撃を仕掛けるが、あっさりとかわされてしまった。






…たしかに、十年間で加わったボックスの戦闘技術についても差があるのは戦わずしてわかるが。

彼の身体能力自体も格段に上がっているのが、たった一回攻撃を避けられただけでわかってしまった。








「ほんとに悪かった。
かわりにボックスについてちゃんと教える。」

「…」

「しかも、今日は一日ずっとお前を鍛える。
駄目か?」





正直、男同士で…あんなことするんて信じられない。
いや、性別が違えばいいというものでもないが。

それでも…ただでさえ強かった彼の十年後と戦いたいという気持ちは、押さえられないほどに膨れ上がっていた。





「…いいよ。
そのかわり本気でね。」


「いいぜ。
そのかわり…負けたらまたさっきのするぜ?」



人差し指で自分の唇を指差す彼に、僕は不快感を表しながらも言い放った。






「…絶対噛み殺す。」


「じゃあ、特訓開始だ。」






トンファーを構えなおして、僕は彼に向かって攻撃を繰り出した。














(…じゃあオレは、恭弥が負けるたびにキスシーンを見なきゃいけねぇのか?)


屋上のフェンスにもたれながら、2人の様子を眺めるロマーリオはため息を吐いた。



++++end++++














戦闘>恋愛という好奇心旺盛なヒバリさん。

キスされても強い人間と戦えるなら、そこまで気にしないらしい。

というか、中学生のころってそんなに恋愛に興味無いんじゃないですかね。




ちなみに、十年後に2人が付き合ってる設定です。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ