小さなお話し

□妄想シンドローム
2ページ/9ページ


「恭弥、キレイだったなー。」

運転席のロマーリオに言うと、少しだけ驚いた顔をしながら言葉をかえした。

「今更じゃねぇか。
ボスが惚れた女、だろ?」

「まぁ、な。
…あれから一週間か。」

「そうだな。
結婚ってイベントがなくてもボスは忙しくて、休みは長くとれねぇからなぁ。
恭弥もまだボンゴレの仕事をこなしてるらしいぜ。」

「会いてぇな…。」


そのとき、急にロマーリオの携帯がなった。

「すまねぇ、ボス。」

「ああ。」

電話に出たロマーリオは、少し会話をかわした後、「わかった」といって電話を切った。

「ボス、屋敷からの連絡だ。」

「なんだ?」

「ボンゴレの人間が、例の取引の最終確認と許可をもらいにきたらしい。」

「山本あたりか?
大きな取引だし、幹部クラスが来てるんだろ。」

「いや、恭弥らしい。」

「恭弥が?」

「ああ…
…ボス、オレが会ってきた方が…」

「何言ってんだ?
オレが行くにきまってんじゃねーか。
ボンゴレ幹部がわざわざ来てるのに、ボスが顔出さなかったら失礼だろ。」

「ボスが決めたなら何にも言わねぇが…」

「屋敷まで急いでくれ。」

「ボス、」
ロマーリオが何か言っていたが、よく聞こえなかった。


窓から外を眺めると、空からポツポツと雨が降ってきた。


***



ボンゴレ幹部である雲の守護者と、キャバッローネボスの結婚式。
2つのファミリーの上層部どうしの結婚は盛大に行われた。

純白のドレスを着た恭弥は、いつも黒いスーツを着ているからか、恥ずかしそうに珍しく頬を染めていた。


「恭弥。」

「…何?」

「今、幸せか?」



「…うん。

幸せだよ。」

目に涙を浮かべながら、嬉しそうに恭弥は笑った。


「ありがとう、ディーノ。」



***
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ