小さなお話し
□色ずく瞬間
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「…君、寝ぼけてるの?」
「ほんと悪りぃ!
予約したつもりだったんだけどな。
まさか日にち間違えてたなんて…」
「…君の部下は?」
「…もう今日は修行ないし、ちょっとロマーリオに本部の様子を…」
「今から外国に?」
「いや。
…ここじゃロマーリオの携帯じゃ電波悪すぎるし…。」
「あなたのは?」
「…川に落とした。」
「……僕は、どこに泊まるの?」
「一室なら用意できるって。」
「…
…
…じゃあ、君は野宿ね。」
「恭弥と一緒にキャンプってのもいいなー。」
僕に笑顔で笑う彼をみて、僕はめんどくさいし諦めることにした。
何よりも、早く休みたい。
今日はやはり体の調子がおかしい…だるくて仕方がない。
「…………
はぁ。
いいよ、別に一室で。
野宿は嫌だから。」
許してあげると、彼は驚いた顔をしたあと、犬のように喜んでいた。
…なんでこの人はこんなにつまらないコトで、こんなに喜べるのだろうか?
一人で喜ぶ彼を放置して、僕はさっさと与えられた部屋に行った。
夕食を食べ終えて、
「恭弥、一緒に風呂入ろうぜ―!」
と言ってきた時は、トンファーどころか素手で殴ってしまった。
「僕は群れたくないから、備え付けのでいいよ。」
と言ったら、何故か彼も備え付けの風呂に入ることにしたらしい。
「恭弥先に入れよ。
疲れてるだろ?」
笑顔で君は僕に言う。
「…あなたもでしょ?
君が先に入っていいよ。」
ぐだくだ言っている男を、トンファーで風呂場に押し込めると、僕は畳の上に横になった。
(……頭痛い)
少しだけ休むつもりで、僕は瞳を閉じた。