小さなお話し

□色ずく瞬間
2ページ/8ページ


「もうそろそろ終わりにしょうぜ、恭弥。」

夕暮れで森が赤く染まりだしたころ、彼は鞭で僕の攻撃を受けながら言った。


「…君、まだ余裕でしょ?」

「いや、だって早く帰らねぇと夕飯食えねぇぜー?」

「…」

「あれ食えなかったら、夕飯カップラーメンだぜ?」

「……」


そう言っている間にも僕は絶えず攻撃を繰り返す。

だが彼は、まだ余裕そうに攻撃を避けている。

最初に会ったときよりは、攻撃がかする回数も、彼が反撃する回数も多くはなっている…
けど…




…ムカツク。

……でも…

…カップラーメンなんて嫌だ。


それに今日は朝から頭痛が酷い。


僕はしぶしぶトンファーをおろした。








何故僕がこんな山奥にいるのかというと、彼いわく
「いろいろなシチュエーションで特訓した方がいいだろ?」
だそうだ。

もともと、何故彼が僕に修行をしているのかさえよくわからない。

ただ赤ん坊に関係があるってことだけ。




…理由なんていい。

ただ、僕は誰よりも強くありたい。

だから彼を噛み殺す。

それだけだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ