小さなお話し
□僕のトナリ
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ディーノは「まったく…」とか言いながらドスッと僕の隣りに座った。
ん?
「ねぇ…」
「なんだ?」
足を組んで僕に顔を近付ける。
その瞬間,ディーノの甘い香水の匂いがして,なんだか落ち着かなくて…
なんで隣りに座るの?って聞こうと思ったのに,
「僕の隣りに座らないでよ」
ああ…なんでこんな言葉しか出ないのだろう,僕…
「え―,別にいいじゃねえか。恭弥の隣りがいい。」
「嫌だ。」
「ハァ…しょーがねえか。」
ディーノはそう言うとスッと立って,僕の向かい側の席に座った。
心地よいディーノの香りがなくなって
何故かわからないけど…
寂しくなったのは気のせい……
アイツは
「向かい側だと恭弥の顔が見れていいな」
ニコニコしながら言った。
「…そう。勝手にすれば。」
見られる…そう言われただけで,なんだか仕事が上手く出来ない。
「俺も恭弥が終わるまで,本でも読むかな!」
とか言いながらディーノが取り出した本のタイトルは,
『マフィアのボスになる為に』
…君ってマフィアのボスなんじゃないの?
そんなバカらしい本でも読んでるのがディーノなら絵になるな…とか思っていた。
…なんだか今日の僕はおかしいみたいだ。