小さなお話し
□見えない手
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ずっと僕は、一人だった。
他人なんて不確かなもの、いつ裏切るかわからない。
そんな僕にきっかけをくれたのは、沢田だった。
「ヒバリさん」
どれだけ僕が突き放しても、彼はいつも僕にかまった。
「ヒバリさんもオレたちの大切な仲間ですよ。」
そう言った沢田の目は、どこまでもまっすぐで。
そうして僕は、人を信じられるようになった。
「委員長!!」
そう言って僕についてきてくれてた人たちを『仲間』として意識するようになった。
「おい、ヒバリ!!
てめぇ十代目になんてことすんだ…っ!!」
「ヒバリ〜。
たのむっ、今日だけ見逃して??」
馴れ馴れしく話しかけてくるやつらも、悪くないと思えた。
「きょーやっ!今日も屋上な〜」
そんあのんきな『自称家庭教師』も受け入れられたし、
「恭弥…好きだ。」
初めてのスキって気持ちも、戸惑うことなく受け入れられた。
ぜんぶ、君のおかげだった。
...見えない手...
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