小さなお話し

□もう届くことないその背中に、
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最初に告白したのは君。


…最初に溺れたのは、僕。






「愛してるよ、恭弥」


「…バカじゃいの」




バカみたい。

愛してる?…そんな言葉じゃ物足りない。



もっと満たして

もっと愛して

もっと、もっと僕だけ見て




どうか僕を閉じ込めて

どうか君を閉じ込めさせて


いっそのこと全部壊したら、君と2人になれるかな?

…そんなくだらないことを自問して、現実に戻って、罪悪感。





そんなこと誰も望むわけがないし、こんなこを考えるのは間違ってる。

そう思うのに、しばらくしてまた僕の中で回る空想。






独占して

独占させて?

染めて

染めさて?


触れて 求めて 壊して




…殺させて?








「そういえばさ、クリスマス頑張って予定空けたぜ!!」


「ほんと?」


「おうっ!
…つっても、イブの夜からクリスマスの朝までだけなんだけどな。
朝一番の飛行機でイタリアに戻らなきゃなんねんだ。」





毎年な、キャバッローネでクリスマスパーティーやるんだ。

信頼できるマフィアのボスとか、昔っからのご近所さんとか呼んでさ。

恭弥はまだ連れてけねーけど…いつか招待するぜ。


でも絶対、イブの夜は恭弥とすごすって決めてっからさ。


恭弥の絶対予定空けといてくれよ?










そう言って笑う君を


…壊してあげたい



そんな衝動を我慢するのにも、限界だった。





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