オリジナル小説置き場

□出席簿の…
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一応念のため言っておくが、雨普(あまふ)高校は進学校じゃない。

けど「名門高校」の名前がある私立なので、校則とかは厳しい。と思う。
でも実際勉強できたらお咎め免除。
うわ、こう書いたらアバウトかつ駄目な学校だな。

まぁ俺も実際勉強は人並み以上にはできる派な訳で。

ネトゲーしてたり調べ物してたりと、高校生だからできる夜なべというヤツをして。

非常に眠い午後のこの時間。

っつ〜か昼食後の5時限目に歴史の授業は酷いよな…。
死ぬほど眠い…。

追い討ちを掛けるように、窓側の席に座っている俺にポカポカ陽気が入ってくる。
なんでこう……。

「くぉら文神!また寝る気か!」
「んがっ!!」

歴史の担当であり担任である教師・狭霧栗朱(さぎり くりす)から
ドラマ張りにチョークを投げられる。
投げられて思うんだが、今時チョーク投げる教師っているんだな…。
しかもピンポイントに当たるんだからお前体育教師になれと言いたくなる。

「…なぁ栗朱先生よ、これって生徒への暴力じゃねぇの?」
「事故だ事故。それ以前に寝ようとしてるお前をチョークが許せなかったんじゃね?」

この教師は…。
流石「教師は趣味だ!」と豪語してるだけあるなコノヤロウ。

そんな俺の心のツッコミを知らぬ担任は授業を再開する。

「ま、いくら他の先生は許してもらっても、担任だけは別って事ですね♪」

隣に座っている友人、柏木倖(かしわぎ ゆき)はクスリと笑う。
ま、その通りなんだが…。

「それに隣でグーグー寝てるヤツが僕よりテストの点いいっていうのもムカつきますし」
「…お前って時々黒いよな、倖」
「安心してください。君にだけですよ」

それも問題なんだが。

「でも担任、テスト点以外にも授業態度も評価対象だって言ってましたよね」
「マジで?!」

聞いた覚えが無いんだが。

…寝てたかね。

「テストだけでは世の中やっていけないという事ですね」
「…いや、学校だけの話だろ、ソレ」
「そうですかね。あと、悪いと単位くれないそうですよ」
「はぁ?!」

予想以上に大声を出してしまったらしく、クラスメイト全員に振り向かれる。
…流石にこれは苦笑いするしかない。

授業妨害してスンマセン。

「文神。チョークじゃなくて黒板消しの方がお好みか?」
「いや、マジ悪かったって!!」

担任は一瞬訝しげな顔をしてから授業を再開する。
黒板消しは流石に痛いわ〜。持ち手がプラスチック製だし。

「でも単位くれんって本当かよ」

小声で倖に話しかける。

雨普高校、完全単位制だから、落としたら死ねる。
補習がこれまた面倒だという話もよく聞くからな。

「らしいですよ。流石担任ですね」
「…テストだけで勘弁してくれ。」
「テストだけだと君みたいなヤツが出てくるでしょうが」

うん。そうだな。
いい模範例がオレだしな。

「…んまぁ、そん時はそん時という事で、俺は寝る」

俺が寝ようとすると、頭に物凄い衝撃が。

「…。文神、んなに単位いらねぇか…」
「いや、その前に教科書投げる担任ってどうなんだ…?」
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