オリジナル小説置き場

□コンビニ停電事件
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電気が消えて、一番おおあわてなのは、なんと店員さん。
こういう非常事態には一番落ち着いていないといけないんじゃなかったっけ?
・・・まぁ、人間なんてこんなものよね。

「なぁなぁ、どうするよ菫さん!!」
「・・・」

次に慌ててるのは月君。
落ち着けって言ってもきっと落ち着かないだろうけど。
時間的にラッキーだったのか、アンラッキーだったのか。
店内には私達を含めて3人しかいないという事実。

「ん〜。あ〜。こりゃダメね。ロックかかってる。入り口からは出られそうにないわ」
「マジかよ。なぁ店員さん、裏口とか無いのか?」
「いや、ありますが・・・。カードロック式ですので、多分使えないと・・・」
「何でもコンピュータに頼むものじゃないわね。換気扇とかは?」
「お手洗いに一応ありますけど、子供一人がギリギリ入れるくらいの大きさですよ」
「子供・・・」
「菫さん、何で俺を見る?」
「いえ、気にしないで。別の方法を探しましょう。このガラスをぶち破るっていうのは?丁度お宅さん、トンカチ売ってるみたいだから」
「凄い厚みありますよ?」
「あ〜。コリャ駄目ね。すっごい硬い」
「どれどれ・・・。あ、本当だ。硬いな」

別の方法を考えないといけないようね。
強行突破も駄目、抜け穴も駄目、裏口も駄目。
そういえば、何で互いの顔も見えないほど暗いのかしら?

・・・答え、見渡す限り外も停電してるから。

「ここまで真っ暗だと楽しいな♪」
「楽しいの?携帯電話が無かったら、本気の本気で真っ暗よ?」
「・・・」
「さて、困ったわね。そろそろ夕食の時間だって言うのに」
「ここで食べるか?」
「駄目よ面倒」
「面倒って・・・」

少し考えてみる。
・・・つまり、電気が無いから動かないのよね。
イコール電気を作り出せばいいと。

「ここって手動式携帯電話充電器ってあるかしら?」
「あ、僕が持ってます」

店員さんが自分のかばんから、釣りの、えっと、何だったかしら。とにかく釣りでグルグル回すやつみたいなのを出してきたわ。
・・・今度調べておこうっと。

「カードロックのあるっていう場所まで案内してもらっていいかしら?」
「こちらです」

案内されたのは、裏口。
確かにキーロックがかかっている。

「大丈夫かよ?」
「立ち往生してるほど時間は無限じゃないのよ。コードみたいなのってあるかしら?」
「ここに使い捨てのコードがありますよ」

店員さんが、捨ててあったコードを出す。
ものすごく都合のいい店員さんとゴミ箱ね。

とりあえず簡単に繋いで、自分のノートPCを開く。
予想があったから。こういう時、カードロック式のやつって暗証番号がリセットされるのよね。

予想的中。嫌ね。

「大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。菫さん、かなりPC知識あるから」

こっからハッカーの腕の見せ所、って所かしら?
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