うみねこ小説

□茶菓子を追って
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「ベルンカステル様、茶請けにクッキーなどは如何ですか?」

ロノウェが持ってきたクッキーをジッと見ているベルンカステル。

ちなみにベアトリーチェとラムダデルタは「作戦タイム」と称して席を立っていた。

…いつ戻るのか、と一人暇を持て余しながら紅茶を飲んでいた時だった。

「アンタは『作戦タイム』とやらに参加しなくていいの?」
「残念ですがラムダデルタ様に『邪魔!』と一蹴されてしまいまして」
「ふぅん…」

そう言って、ベルンカステルはロノウェの運んできたクッキーを摘んだ。

「…美味しいわね」
「ありがとうございます」

その時、ベルンカステルが正面を見据えながら虚空に向かって喋った。

「羊羹(ようかん)が食べたいわ」
「はい?」
「羊羹が食べたいわ」

ベルンカステルはロノウェに向き直り、同じ事を言った。

ロノウェは『羊羹』はどのようなものだったか考えていた。

「………柑橘類のアレですか?」
「それいよかんでしょ。私が言ったのは羊羹よ」

ベルンカステルが席を立った。

「ちょっと羊羹探してくるわ」
「お嬢様とのゲームはいかがされるんですか?」
「羊羹探す時間くらいあるでしょ」
「ありますか?」
「あらゆる時間は魔女にとって無意味よ。なんなら貴方も行く?」
「……」

という訳で、ロノウェもベルンカステルについていく事になりました。



少ししてから。

「ふはぁ〜…。やっと終わったぞ。ロノウェ、紅茶を…」

ベアトリーチェが戻ってきてから、不審な点に気付きました。

「…ロノウェ?」

それに、先ほどまで居たはずのベルンカステル郷の姿も見当たりません。

ベルンカステル郷の座っていたテーブルに近づくと、一枚の付箋が。

『羊羹を探してきます』

しかも日本語で。

「むむ…?これは何と読むのだ…?」

ベルンカステルはベアトリーチェが日本語を読めないのを失念していたようです。

しかも羊羹なんて難しい字なら特に。
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