Novel
□「ヒマツブシ」
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「あー、つまんない」
一人の青年がソファーに寝転んでいる。髪は漆黒という名が相応しい色合いだ。しかし、瞳は表しにくい。強いて言うなら『血のようなどす黒い赤』だろう。
「何かおもしろいことないかな……」
ふと、水鏡に目が行く。人が映っていた。青年ではない。少年だ。濁ったコバルトブルーの瞳を持った少年。
見た瞬間に目が離せなくなった。何故だかわからない。少年が気になった。
「暇つぶしだよ。ただの……」
今まで、何かに興味を持つなんて事なかった。