Novel

□「ヒマツブシ」
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「ほら、早く行こうぜ!」

 少年の声が教室中に響きわたる。

 多分、教室移動なのだろう。まだ動こうとしない男子生徒の一部に呼びかけているみたいだ。

「うるせぇーな!宇宙人は黙ってろっての」

 反発の声。

 見た目は小学六年なのに中身は幼稚園だな。最近の小学校は荒れているって聞いてたけど、これではただの子供だな。

「本当、バカな奴等……」

 少年が教室を出ると共に呟いた。捨て台詞だろう。

 そういえば、バカという奴がバカなんだとか言うのがあったな。俺にしてみれば、こんなこと思いつく方がバカだと思う。

「秋月、あんなのほっとけばいいじゃん」

 男子を下に見る女子の声。

 バカな奴等の相手なんかしなくていいと思っているんだろうけど、こいつも……。

「でも、授業はちゃんと受けないと」

 少年の笑顔。

 なんだろう。何か気になる。笑顔なのに、違う。違和感がある。
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