保管倉庫
□(タイトル未定)
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何かと僕を食べたいと言う彼、極卒君と初めて会ったのは半年前の満月の夜。
帰宅途中淀ジョルと遭遇し異次元世界に引きずり込まれ掛けた際、通りかかった極卒君が助けてくれたのだ。
―――――
「似た気配がしたから来てみたけど…違ったか。チッ」
彼は先程まで淀ジョルがいた場所を睨みながら舌打ちする。
僕は乱れた衣服を整えながら彼に話し掛けた。
「…あの、助けて頂きありがとうございます」
「ん…気にしないでいいよ。気まぐれだから」
そう言いながら僕の顔を見た彼は一瞬動きを止め、その後手を伸ばしてきた。
「?あの、」
「動くな」
彼の指が僕の右頬のとある所をなぞり、その指を僕に見せる。
「―少し切れて血が出てるよ?」
「あ…」
異次元世界に引きずり込まれ掛けた時、激しく抵抗した際淀ジョルの鉤爪のせいで左手に切り傷が出来たのは分かっていたが頬まで切れてたのか。
自分で触れて確認していると、何を思ったのか彼は僕の血が着いた指を口に含んだ。
「……へえ、見かけによらず美味しいんだ」
「何がですか!?」
バッと軽く後退りしながら取り敢えず突っ込んだ僕に、彼は笑い掛け、
「――僕は極卒。また、ね?」
そう言って姿を消した。
――――――
次に会ったのはその二ヶ月後、今から三ヶ月前。
何故か神様から呼び出しを受け、指定された場所に行くとそこには神様と極卒君がいた。
「唐突でわりぃんだけどさ、鴨川支部長。暫く極卒預かってくんない?」
「…………はぃ?」
毎回神様が『代行』を省いては僕が訂正する半ば恒例行事を、今回はする程余裕がなかった。
「いやさー、コイツ地獄在住で滅多に此方には来なかったんだけどな、とある事情で人探ししててその探してる奴が此方にいるらしくて」
「はぁ」
あの時、『似た気配』『違ったか』はそういう事だったのか。
「今までは地獄と此方を行ったり来たりしてたんだけど、中々目的の奴は見つからないし行き来するのも面倒になってきてさ。ならいっそ見付かるまで此方で暮らしちまおうって事で」
そこで今まで喋らなかった彼が口を開く。
「それを神に相談したら、『地上に知り合いとかいないのか?』と言われたんで貴方の事を」