保管倉庫

□隈とクマ?
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「いじけるなよ……遅くまで起きてると、目の下に隈が出来るぞー?」

「く、くま??」

想像してみる哲夫。


めのしたに…くま?

くま……

クマ………

…めのしたにクマさん?!


「かわいいけどはずかしくてようちえんいけないからはやくねるぅっ!!」

ガバッと布団に潜り込む哲夫。

「可愛いって何だ哲夫!?」

そう言いながら、哲夫が潜った布団の膨らみを揺する拓也。
しかし、哲夫の返答はない。

「あー…クマの方だと思ったのか」

可愛いの意味が分かった拓也。
幼稚園児に隈なんて分かりません。

「哲夫ってば、可愛いなぁ……というか寝るの早っ」

布団に潜り込んだまま眠った哲夫を、起こさないように引っ張り出して布団を掛け直す。

「………」

寝てる哲夫のほっぺたをつつく拓也。

ツンツン

「……柔らかい…」

ぷにぷに加減に軽く感動。
もう一回ツンツンしようとした時……


「…ふにゃぁ…」

哲夫が寝言を発した。


「(…かっ…可愛い…ッ!!)」

この頃から、ブラコンになりつつあった拓也(当時12歳)だった。


―――――――――――


「……そういや昔、あんな事があったなぁ…」

未だにぐったりとデスクに突っ伏す哲夫を見て、拓也がポツリと漏らす。

「何がですか〜…?」

突っ伏したまま、聞く哲夫。
拓也はコーヒーが入ったカップを両手に持ち、歩きながら答える。

「お前が幼稚園児の頃、目の下に出来る隈をクマと間違えた事」
「そんな昔の事まだ憶えてるんですか!?」

赤くなった顔を上げて叫ぶ哲夫。

「憶えてなくていいですというかさっさと忘れて下さいッ!!」
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