保管倉庫

□甘く怪しい贈り物
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コンコンッ

「どうぞ」
「失礼します」

哲夫が部屋に入ってくる。

「何の用ですか?兄さん。夏川さんもいますし…」
「いやな、今日の郵便物にこんな物が混じっていたらしくてな…」

拓也の前に来た哲夫に小包を手渡す。

「?あ、僕宛てだ。でも…差出人の名前がない…」

小包を隈無く見る哲夫。

「時期的にバレンタインのプレゼントっぽいんですけど…。包装紙もそんな感じですし」

夏川が哲夫に話す。

「確かにそんな感じですよね…。ここで開けてもいいですか?」
「ああ。私も夏川君も気になってるしな」

二人の前で、小包を開ける哲夫。

包装紙を取ると、紙の小箱が現れた。
その小箱を開けると………


「っ!?」

小箱の中身を見て、固まる哲夫。

「?どうしました?鴨川研究員」
「変な物でも入ってたか?」
「い、いや…チョコレートが入ってるんですけど……形が…」

不審な表情の二人に中身を見せる。

「「っっ!?」」

中身を見た途端、二人も固まる。

「……ト、トカゲとムカデ」
「の形をしたチョコレート…」

そう、小箱に入っていたのはトカゲとムカデの形をしたチョコレート。
しかも結構精巧な出来で、妙なリアル感を醸しだしている。

「………食べるのに勇気がいりますねコレ」

軽くビビる夏川。

「ここまでリアルだとネタというより嫌がらせだな」

眉間に皺を寄せる拓也。

「でも、カブトムシや幼虫の形をしたチョコレートって市販されてるらしいですよ。テレビでやってました」

そう言いながら、箱の隅にあるカードに気付いた哲夫。
手に取って読んでみる。


「…………『暇だったので愛を込めて手作りしてみました。 淀川ジョルカエフ』」

「「!?!?」」

哲夫が読み上げた内容に固まる拓也と夏川。
ちなみに読み上げた当の本人は鳥肌立っている。
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