保管倉庫
□始まりは雷と暗闇と共に
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雷が鳴る度、昔の出来事を思い返す。
まだ私と哲夫がこの研究所に勤めだして、2年程経った頃。
雷と停電と暗闇。
それらは…
私と哲夫を、淀川ジョルカエフに引き合わせた。
あの頃はまだ淀ジョルについての研究はあまり盛んではなく、武蔵野支部ではとある部署が半分趣味で調査していた。
哲夫とも部署は違った。
…大掃除という名の行方不明物大捜索はこの頃に始まった。
最初に行われたのは夏。
それが事件の始まりだった。
「…すまんな、手伝わせて」
私と哲夫の部署の片付けは早々に終わり、大学の先輩である利根川研究員の部署の片付けを手伝っていた。
「いえ、構いませんよ」
哲夫が答える。
「…俺はいないほうがいいんじゃないですか?先輩」
先輩は私の整理整頓能力の悪さを知っていた筈だ。
「人手は多い方がいいだろう?それに、片付けるだけじゃなくて借りた資料を返さなきゃならんしな」
そう言いながら先輩は「はい、これ宜しく」と、私に辞書並の厚さがある大判の本6冊をドンと渡してきた。
「あ、これ○○○部署行きな」
「………」
…少し、先輩に殺意を覚えた。
「に、兄さん…手伝いましょうか?」
「いや、お前は先輩と片付けを続けてくれ」