保管倉庫
□始まりは雷と暗闇と共に
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私は扉を閉め、中断していた部屋の整理を再開した。
この研究所では夏と冬、半年に一度大掃除という名の行方不明物大捜索を行う。
研究内容が近い部署同士は資料の貸し借りが盛んだ。
その貸し借りで資料が行方不明になることもしばしば。
なのでこの大掃除が行なわれる。
自分達の部署などを掃除し、自分の所の物ではない資料などを見つけた場合は関係ありそうな部署へ届けるのがルールだ。
しかも、稀にまったく関係のない部署に行方不明だった資料があったりもするのでこの大掃除は重要だ。
しかし…
「……やはり、俺には向かんな」
私には整理整頓能力が著しく無い。
なので、いつも哲夫にやってもらっている。
あいつは片付けるのが上手いし、探し物もよく見つける。
「…はあぁ」
私は溜め息をつき、窓から未だに雨と雷が踊っている空を見上げた。
「大丈夫かい?鴨川さん」
「…はい、なんとか……」
僕は雷から遠ざかる為に食堂に逃げ込んだ。
ちなみに、まだ涙目だ。
「はい。お茶でも飲んで落ち着きなさい」
食堂のおばちゃんがお茶を出してくれた。
「ありがとうございます」
お茶をすする。…ああ、なんていい温度加減。