保管倉庫
□あ、本当に黒くて赤い。
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『やめてくれ〜って叫んでるの誰だー』とかツッコミながらプレイしていたけど。
本人は2ヶ月ぐらいでクリア出来ればいいなー、と思ってたらしいけど…。
「…で、何であの人の話を…」
言いかけた僕は、言い切るのを止めた。
…わかったかもしれない。
兄さんが怒ってる…いや、滅茶苦茶機嫌が悪い原因が。
「に、兄さん?もしかして…あの事で機嫌悪いの?」
…あ、さらに眉間の皺が増えた。
多分、当たっている筈。
「あ、あれは奇跡中の奇跡が起きた訳で…」
「奇跡だろうとなんだろうと、クリアしたのは事実だろう!!」
声を荒上げる兄さん。
あぁ、やっぱり。
…そう、あれは3日目の事。
あの人は、プレイヤーキャラを僕にしてから1曲目に『ヴイエスサウンド』を選んだ。
もちろん、僕はプレイヤーキャラになったので相手は兄さん。
あの人は兄さんを見たかったらしく、『あ、本当に黒くて赤い』とか言っていた。
そして、玉砕覚悟でプレイした結果は……
「プレイした本人だって一瞬、唖然としてたじゃないかぁ」
「前回のスコアとの違いは一体何だぁっ!絶対にあのスコアは有り得ん!!」
…そう、あの人はクリアしてしまったのだ。
兄さんとの初戦で。