保管倉庫

□あ、本当に黒くて赤い。
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「あのー…僕はどうして、兄さんの研究室の床で正座させられてるんでしょう…?」
「……」
あ、眉間の皺が増えた。
心なしか、部屋の温度も下がった気がする。
「………」
答えてくれない。

「…はうぅぅ…」
兄さんの鋭い眼光と、プレッシャーと、研究室内の重たい空気に、僕は涙目になる。
そんな僕の様子を見て、兄さんは溜め息をつきながら重い口を開いた。
「…最近ポップンを始めたばかりなのに、やるたびに必ず『ヴイエスサウンド』を選ぶ身の程知らずな奴がいるだろう?」

「……へ?」
僕は訳が分からず、キョトンとした。
そんな僕のリアクションを見て、額に手を当てながら兄さんは続けた。
「…アイツだ。ポップン歴現在4日目の…」
「…ああ、あの人の事ですか?」
やっと兄さんが言っている事にピンときた。

2日目にプレイヤーキャラ選択方法を知り、3日目に友人から過去のポップンキャラの選択方法を教えて貰い、僕を選択した人。

「そうだ」

僕がプレイヤーキャラに選ばれるまで、あの人が『ヴイエスサウンド』に挑戦した回数は5回。
僕が相手をしていたのだけれど…始めたばかりなので、5ボタンとはいえ当然クリア出来る筈がなく。
それでも地道にスコアは少しづつ上がっていっていた。
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