保管倉庫

□ホワイトデーの出来事
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ホワイトデー前日の夜。

哲夫はバレンタインのお返しとしてクッキーを焼いていた。



だが……

「……おかしいなぁ、何か数が少ない」

焼けて粗熱を取るために皿に置いたクッキーが、いつの間にか減っている。

「ん〜?」

おかしいと思いつつ、次のクッキーを焼く。


―――――――


焼き上がったクッキーを皿に移し、次に焼く分をオーブンに入れた。

スイッチを入れた後、皿を見ると……

「……」

やっぱり何故か数が減っている。


―――プツンッ

哲夫の中で何かが切れた。

「数え間違えたかなー?また足りない分作り直さないとー。あ、でもまた足りないとクッキー生地が足りなくなっちゃうしなー」

棒読みの台詞。

「しょうがないから淀ジョルの分用に作ろうと思ってたトカゲ型の大きなクッキー作るのやめるしかn」

『エエェェェエエッ!?そんなぁぁぁっ!!』

情けない叫び声と共に姿を表す淀ジョル。
口の周りにはクッキーの滓が付いていた。

「……やっぱりつまみ食いしてましたねコラァッ!!」

丁度近くにあった小さい鍋を当たらないと分かっていても、淀ジョルに向かってぶん投げる。


ゴォンッ!

『アイタぁッ!!』

実体化しているのを解くのが遅かったらしく、淀ジョルの頭に鍋は見事直撃。

その衝撃で、シルクハットが宙を飛ぶ。

「あ、当たった」

鍋が当たった事に驚く哲夫だった。
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