保管倉庫

□甘く怪しい贈り物
1ページ/3ページ

――――IDAAラボ武蔵野支部、受付。


「こんにちわ、郵便です」

朝早く、郵便配達の人が郵便物を腕に抱えてやってきた。

「いつもご苦労様です」

受付の夏川が答えながら、郵便物を受け取る。

「それでは失礼します」

配達の人が出ていくのを見送ると、夏川は郵便物を仕分けしていく。


「これは支部長代行宛て…でこれが………あら?こんな小包あったかしら?」

配達の人から受け取った時にはなかった気がする小包を手に取り、宛名を見る。

「鴨川研究員宛てだわ。……送り主の住所と名前は無し、かぁ」

不審に思い、小包を軽く振ってみるとカタカタと音が。

「んん〜?何か中に入ってる…でも軽いのよね。それにこの小包…」

…よくプレゼント様に使われる包装紙に包まれた小箱に、住所のシールを張り付けた物だ。

「時期的に……チョコレートかしら?」

ちなみに今日は二月十四日である。


―――――――――――

支部長室。

コンコンッ

ドアがノックされる。

「どうぞ」
「失礼します」

声と共にドアが開き、郵便物を持った夏川が入ってくる。

「鴨川支部長代行、郵便です」
「ああ、夏川君か。いつもすまないな」

拓也に郵便物を手渡す夏川。

「……後、コレについてご相談が」

左手に持っていた小包を拓也に見せる。

「ん?…哲夫宛てか。何処にも送り主の名前は無し…」

小包を手に取り、裏も見る拓也。

「見る限り、プレゼントって感じなんですが。時期はバレンタインですし……けど、ちょっと怪しいですよね」
「確かにな。不審物なら慎重に中身の確認をするべきだが……とにかく、哲夫を呼ぶか」

机の隅にある電話を取り、内線番号を押す。

「…もしもし、鴨川だ。哲夫、今手が空いてるか?…そうか、なら支部長室まで来てくれ。確認を取りたい事があってな。……ああ、頼む」

受話器を戻す拓也。

「…あの、支部長代行。私も中身確認に立ち会ってもいいですか?」
「ああ、構わないが」

中身が気になって仕方ない夏川だった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ