保管倉庫

□あ、本当に黒くて赤い。
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現在の時刻、PM4:29。

「…えっと…な、なんで、正座なんですか……?」
「…」
勇気を振り絞って聞いてみたが、案の定答えてはくれない。
「うぅ…」
僕は自分でも情けない声を上げた。

ここは国際異能研究機関武蔵野支部のとある研究室。
ここの書類が散らばった床に、僕はもうかれこれ…数十分程正座させられている。
この研究室の主、僕の兄は椅子に座りながら僕を無言で見ている。
…いや、睨んでる。眼鏡のレンズ越しに見える目が怖い。
淀川ジョルカエフ並に怖いよ、兄さん…。

「(…今日、兄さんを怒らせる様な事何かしたっけ?)」
僕、鴨川哲夫は今日の朝からこの研究室に呼び出され、正座させられるまでを思い返してみる。

……
………
…………
3分経過。

「(…駄目だ、全く心当たりがない)」
いくら思い返しても兄さんが怒る理由がわからない。
仕方がないので、本人に聞いてみることにした。

「…あの…兄さん?」
小さな声で、尚且つ遠慮がちに話しかける。
「…なんだ」
あぁぁ、声のトーンが普段より低い。
数十分前に、僕に正座を命じた時よりも低くなってる。
「(ぅうぅ…怖い)」
心の中でそう呟きながら、僕は話を続けた。
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