背景は黒が似合う話

□俺はただ、
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ふわふわと身体が浮くような熱気と、
ぱちぱちと橙色の火花が弾ける音と、
どこか遠くから聞こえる人の叫び声。

辺りに立ち込める独特の匂いのするりを吸い込むと、鼻の奥がツンとした。


「なぁ、」

「……………。」

「どこで間違えたんだろうな。」


その煙のせいか、涙が頬を伝う。
目が、痛い。


「なぁ、」

「………………。」

「どうして、こうなったんだろうな。」


一歩。椅子に座ったまま動かないガナッシュに近付く。


「知ってたか?俺さ、ずっとお前のこと、好きだったんだぜ?」

「…………………。」


燻る床を踏みながら、また一歩。


「俺だけを見て欲しかったんだ。他の奴じゃなく、俺を…俺だけ、を。」

「…………………。」

「だけど、なんでだろうな。」


キシリ、と耳障りな音を響かせて俺はガナッシュの目の前に立った。
ガナッシュの瞳は、真っ直ぐに俺を見つめている。


「今、お前は俺の事を見ていてくれているのにさ、」


ゆっくりとゆっくりとガナッシュの頬に手を伸ばす。


「………満たされないんだよ。」


その頬は俺らを取り囲む火の熱さに反するようにヒヤリとしていて、それはまるで俺とガナッシュは根本的に相容れないのだと言われているようにも思えた。

原形を残していた椅子をガラガラと引きずってガナッシュの隣に腰を下ろした。


じりじりと身体を焼くような熱気と、
ばちばちと火炎が酸素を求める音と、
いつの間にか聞こえなくなった人の声。

ぼんやりと霞んでいく視界と意識の中で、俺は何度も口にしたあの質問を燃え盛る炎の中に投げ捨てた。


「どうして、こうなっちまったんだろうな。」


(俺はただ、)
こっちを見て欲しかっただけなのに。



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2万打記念リクエスト、火闇文です。
こんな感じになりましたがいかがでしようか!
リクエストされた方のお名前がこちらの不手際のせいでわかりませんが、どうぞお納め下さい。リクエストありがとうございました!

2011*04*22
 

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