背景は黒が似合う話
□おさなすぎたんだ、おれらは
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「なぁガナッシュ。こんなこと、いつまで続ける気でいんの?」
俺が体を動かすと、俺の手とコンクリートの壁を繋ぐ鉄枷が チャリ と硬質な音を立てた。
辺りは暗く湿っぽい。おそらくはどこかの地下室だろう。
天井からぶら下がった唯一の明かりである裸電球が心許な気に瞬いている。
「こうでもしないと、お前は俺のことなんて、置いていってしまうだろう?」
そう呟くように言うガナッシュの目は虚ろで、俺を見ているけど捉えてはいない。
「俺はお前を置いてどこかに行くつもりなんて、毛頭ないよ」
「わかってる、わかってるさ。だけど、不安なんだ。」
このやり取りも、もう数え切れないくらい繰り返した。
ここへ来る度 ふっ、と目を伏せうなだれるガナッシュを、思い切り抱きしめてやれば少しは不安も減るのかも知れない。
けれど、両手を壁と繋がれている俺にはそうする事すらも叶わない。
「また、来るから。」
そう言い残し、ガナッシュは電灯の明かりの届かない、暗闇の向こうへと消えた。
おさなすぎたんだ、おれらは。
(魔法を使えば簡単に脱出できるのに、つまりはそういう事)
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10分で小説を書いてみよう(一人)企画。
…どうしてこうなった。これはどこに向かうのが正解なんだろうか。
続く。かもしれない。
2010*04*24