short story
□貴方の背中
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(キラ←ラク・学パロ)
近く感じられる―…
*貴方の背中*
―――――…
「この資料まとめ、よろしくね」
「まっかせて!」
「ラクスさんばっかりに任せちゃダメだよ、フレイ」
前で繰り広げられる会話に微笑む、わたくしラクス・クラインは高校2年生、今は生徒会活動中。
そして、今、声をかけてくれた3年生のキラ・ヤマト先輩に片想い中です。
「いっつもキラはラクスに甘いんだからッ」
「…そうですか?;;;」
口を尖らせるフレイさんは『負けないけどね』と、座りながら資料半分とホッチキスをわたくしに渡してくれた。
フレイさんとは高校入学からのお友達で、お互いキラ先輩に片想い中。
「でも、フレイさんはキラ先輩と幼なじみですわ」
「だから困ってるのよ…私の場合、近すぎるのかな?」
「わたくしはフレイさんが羨ましいですけど…」
「え?私だったらラクスの方が羨ましい!」
噂する当の本人が同じ教室に居ることも忘れて話していると、
「手は進んでるのかな?」
二人同時に頭をポンっと叩かれ、背後に立つキラ先輩を二人で見上げれば、微笑んでいた。
「もちろんよ♪それより、立ち聞きとかしてないよね…?」
「?…今来たばっかりだし。ってか、盗み聞きなんてしないけど」
「そんなの分からないじゃない」
「そんなことしないって。ね、ラクスさん」
急に話しをふられ、目が合うなり微笑まれた。
そんな笑顔に胸がドキッと高鳴るのが嫌でも分かった。
「…ッ、はぃッ///」
「キラ!ラクスを自分の味方につけないでよ。ラクスは私の味方なの」
「まぁ、二人の仲を悪くするつもりは無いから、僕が悪いってことで…作業続けてね」
キラ先輩は可笑しかったのか、笑いながら自分の作業へと戻って行った。
「上手くまとめられた…もうキラったら!」
「やっぱり、フレイさんは凄いです。わたくしは…未だに緊張して…全然ダメですわ///」
「とりあえず、ラクス、そんな弱気じゃダメ!一緒に頑張ろうって決めたんだからッ!」
「…はぃ、頑張ってみます」
そう、キラ先輩とは同じ生徒会になって半年は経つのに、先輩との会話は未だに緊張してしまう。
先輩とフレイさんが話し始めると、先輩はいつも、関係のないわたくしに話しをふってくる。
だから、フレイさん曰く『全然話してないわけじゃないのに』と。
そもそも、先輩とフレイさんの会話を邪魔したくありませんから、話しをふらなくてもいいですのに…
二人の会話は面白いため、見ているだけで充分。
先輩が優しいおかげで恋をしてしまったのだ。
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