短編集
□俺のおとうと
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「ツバサ、こっちだよ。」
「まって、にぃちゃん。」
二歳年下のツバサは俺の後についてこようと必死だった。
最初は邪魔だと思ってたけど、後ろからぴょこぴょこついてくるツバサが可愛くて、遊びに行くときはいつも一緒だった。
でも、それも俺が六歳で、ツバサがもうちょっとで四歳になる頃で終わった。
「どうしたの、ツバサ?今日は公園行かないのか?」
学校から帰って来ると、宿題そっちのけでツバサの部屋に行く。ツバサはベッドの中で苦しそうにうーうー唸っている。
「あそび…いきたい。」
俺はそのとき、ツバサの頭を出来るだけ優しく撫でた。
「今日は公園じゃなく、部屋でできるあそびにしような。」
ツバサは頷いた。
俺はツバサをあまり動かさず、覚えたてのひらがなが書かれた絵本を読んだ。
「にぃちゃんすごーい!」
とツバサ言われて照れくさかったが最後まで読んだ。
そのとき、母さんが来た。
「ツバサちゃんは風邪をひいてるのよ。移らないようにあなたはむこうに行ってなさい。」
優しく言う母に俺は「はーい。」と気の抜けた返事しか出来なかった。
翌日、ツバサの様態が悪化した。