はなし

□恋するネクロフィリア
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※珍しく病んでる上にオリジナル臭いので注意




















「ニール、どうかした?」


随分と長く、外を眺めていたらしい。
心配そうな母さんの声に何でもないよと笑ってみせて、裏付けするために「腹減ったぁ」と声を上げながら立ち上がって関節を伸ばす。首からポキリと小気味いい音が鳴り、先程よりかは爽やかな気持ちになる。


「本当に星を眺めるのが好きなのね、ニールは」

「好きっつう訳じゃないけど、さ」

「あら、もう『好き』って言いにくい年になった?」

「そんなんじゃねぇよ!」


けらけらと笑いながら配膳なんかするもんだから零れかけたスープを慌てて受け取って、主菜やら食器やらの並んだテーブルにそっと置いた。この家は余り広くないから、ちょっと腰を捻るだけで済む。

くるりと体を戻すと母さんの顔がドアップで映り、腰が悲鳴をあげる程反らして回避するはめになった。


「なんだ、やっぱりオトシゴロな反応じゃない。昨日まではおやすみのキスだってしてたのに」

「不意打ちは別なの!それにキスなんて―――」


最近はしなくなったじゃないか、と言おうとして、はたと気付いた。
最近とはいつだろう。一年前?一か月前?一週間前?
その時俺は、どうしてた?
一か月前の記憶がないのはまぁよしとして、一週間前の記憶がどうしてないのだろう。昨日は母さんと二人きりで過ごして、一昨日はお客さんが二人来て、


「さぁ、冷めないうちに食べないと美味しくなくなっちゃうよ」


ポン、と肩を叩かれて、固まっていた思考をほどいた。なにも温かい夕食を前にして考えることじゃない。これは寝る前とか、風呂とか、一人の時に考えるような種類のことだ。


「…俺は猫舌だからこれくらいで丁度いーの」

「私まで巻き込むつもり?ひどい!」


他愛ない会話に違和感を覚え、またぐらりと頭が揺れた。



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