はなし2

□衝動的パロ2
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グラ太郎はこちらに背を向けるように立っている少年へ声を掛けました。

「君、ここは鬼が島だったはずだが何故…。
いや、回りくどい言い方はよそう。君は鬼かい?」

ストレートです。
ニールは絶句しています。
少年はゆっくりと振り向き、グラ太郎一行を睨みました。見た目は幼いのですが雰囲気はグラ太郎よりもよっぽど落ち着いています。グラ太郎達を見る目は何かを探るかのようです。

「…お前達は」

ぽつり、と少年が尋ねました。
じっとりと舐めるように少年を見ていたグラ太郎に代わり、犬のニールが答えようとしましたが…。

「俺達は鬼を探「なんと麗しい!容姿に似合わず体全体に響くかのような魅惑的な声…!その声により一層強調される幼くも野性美に溢れたその愛らしさ!立ち振る舞いにすらも滲む洗練された肉体…そのバランスの危うさは酷く私を魅きつける…!
あぁ、君が鬼だとするのならばセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない!」

グラ太郎は興奮のあまりか、じりじりと少年ににじり寄りつつまくし立てています。少年の危機を感じとったニールは、グラ太郎を後ろから引っ張って少年に逃げるように言いました。少年は気持ち悪い物を見てしまったような顔をこちらに向けて綺麗なフォームで森へと走り去りました。

「何故止めるんだ、ニール!」

「いやあんた正義の味方のはずなのに犯罪犯す気だっただろうが!当然です!」

「あのように魅力的な少年に出会って行動を起こすなというのは無理な話だ!」

「犯罪のトコを否定して欲しかったな!ていうか俺達は鬼退治をしにきたんだろう、ナンパしに来たんじゃねぇ!」

そんなやり取りを小一時間ほどし、鬼退治をしにきたのだから今追わなくともいずれ会えるのだ、とニールはグラ太郎を説得しました。




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