はなし2

□苺
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ぷす、と一口で食べるのに丁度良い大きさに栽培された苺にフォークを突き刺し、向かいに座っている男へと差し出す。

男はいそいそと苺のヘタをとると「どーぞ」と食べるように促す。

俺はそれを口に運ぶ。
さっきからこれの繰り返しだ。





「ティエリア、お土産買ってきたよ!」


個室で静かに情報収集していたというのに、この男は。


「アレルヤ・ハプティズム、データの解析が途中なのだが」

「ティエリアがこっち向いてくれないからだよ」



そう言って男は俺から取り上げた端末を脇に退くと、皿に盛った苺をテーブルの真ん中に置いた(データはきっちり保存していた)。


「……今回は苺か」

「今が一番甘いんだって。色も綺麗だろう?」


誇らしげにそう言ってはいるが、店員の受け売りだろうことは察しがつく。

薦められて断れなかったことも。



「他の奴らに食わせればいいだろう」

「刹那達の所にはもう置いてきたよ」

「…いくつ買った?」

「えっと、2箱?」



何故疑問系。何故そんなに買った。

表情で伝わったのだろう。「安かったからつい」と主婦のような言い訳を呟いている。



「…食べてくれる?」

「腐ったらもったいないからな。
…ヘタをとるのが面倒だ」



皿に添えられたフォークで苺を差し出すと、表情を緩めながら手を伸ばした。


―――そして冒頭に至る。





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