はなし2

□衝動的パロ完結編
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※ここからは無駄にハードボイルド風味でお送り致します。







人の手の加えられていない森は、ひどく走り辛い。それでも、ガサガサと無様な音を立てながらでも走らなければ。俺は出番が来るまでは逃げ切らねばならない。
一度立ち止まり、木に隠れるようにして周囲を窺う。遠くで鬼のひとり―アレルヤといったか。彼が叫ぶのが聞こえた。恐らくは主人に捕まったのだろう。主人ならば標的をおいつめるのに容赦しないだろうから、俺達が追う者は確実に一人減る。あと三人を捕らえれば、問題は解決する。
ニールは唇の端を持ち上げるように笑いながら、銃を構え直しまた走り出した。



ニールの主人、グラ太郎の提案はこうだ。
逃げる者達を追いかけて触れ、触れられた者が次の鬼となり他の者を追いかける、いわゆる『鬼ごっこ』で勝敗を決め、負けた者達は勝った者達の言いなりになる。

だが鬼ごっこでは勝敗が決まらない。捕まった者は即アウト、鬼から逃げる者は妨害を好きなようにする。日が沈みきるまでがタイムリミリットというルールを取り決めた。

「どちらが正しいか、等と話し合うのは無駄だろう。私達には譲れない理由があるのだから。それならば、純粋な力で示すしか道はない。
そうだろう?少年」

主人が随分と入れ込んでいる鬼のリーダー、刹那は黙って頷いていた。
鬼が追われるという状況はなんとも滑稽だが、人数の都合上仕方ない。それに地の利や『妨害』ができる彼等が有利なのは明らかだ。名称にこだわる理由もない。



けして遠いとは言えない場所から銃声が響き、主人と鬼とで接触があった事が知らされる。ついでアレルヤのものと思われる悲鳴が聞こえたのできっと捕られられたのだろう、ならば残るは刹那、ハレルヤ、ティエリアの三人だ。ライルは審判に回っている。彼がどちらに味方するかは複雑な問題になってしまうのだろうし、異論はない。

「ニール、無事か」

「何とかな。逃げるだけだから楽だ」

ガサリ、と薮を掻き分けて出て来た主人と軽く言葉を交わしている側から、地面を蹴る軽快な音が近付いてくる。後ろを振り向こうとした体は主人によって突き飛ばされ、先程までしゃがんでいた場所には黒々とした塊が蹲っている。
そいつが立ち上がるよりも速く主人が飛び掛かろうとするも、転がる事で回避されてしまった。塊もといハレルヤは、慣れているのかいつでも飛び掛かれるように腰を落とした状態でこちらを睨んでいる。

「へっ、なかなかすばしっこいじゃね「唐突にいぃっ!グラハムキィック!」

主人は言葉も聞かずに蹴りつけた。しつこい、性格さながらにしつく蹴りつける。満足そうに振り返る頃にはハレルヤはぴくりとも動かなくなっていた。

「さぁ、残るは二人だ」

見ようによっては爽やかな表情で汗を拭い、鬱蒼と茂る木の葉から微かに窺える空を見上げた。
と、木の葉を吹き飛ばすほどに強い風と、聞いた事もないような連続的な―そう、まるで精巧なからくりの動力源のように途切れることのない―音とが降ってきた。

細かいルール指定などはなく、道具、妨害等は何を使ってもいいと決めたのは主人だ。俺が銃を使うためのルールだったが、強力な武器を使えるのはあちらも同じ。現に主人は、アレルヤから奪い取った刀を構えてはいるし―だが、この規模は反則だろう。
空から降り立ったそれは、人の10倍はあろうかという大きさの、人型のからくりだ。しかも登場方法から察するに、空を飛べる。
どうん、ととてつもない重量を感じさせる着地音を立てつつ降り立ったそれは、茶屋の看板娘(自称)の言っていたように宝と表現するに値した。威圧感に溢れているのに、どこか華奢で美しい。


※作者がこのくだりで力尽きたので口調を戻します。




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