はなし
□オヤスミ
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何故この季節にホラーなぞ放映するのか理解出来ないしたくもないていうか部屋を薄暗くする気持ちが分からない薄暗闇になにかいるような錯覚をおこしちゃうじゃんかそもそも動物は暗闇を恐れるものだそれにさらにジャパニーズホラーを足すなど愚の骨頂じゃないですかなんなんですかていうか
「ぶつぶつなに言ってんだ。テレビよりよっぽど怖いぞ」
「うらさい美鶴にこの気持ちが分かってたまるか!」
「…噛んだ」
「あーあーあー!」
美鶴に指摘されたのが悔しくて、抱いていたクッションから手をはなして耳を塞いだ。
この状態で声を出すと防音効果は抜群だ。目は(怖くて)瞑れないから、我が家以上に薄暗い家が映ったテレビと薄笑いの美鶴が視界に入って結局は怖いけど。
スプラッタ的なホラーならまだしも、ひたひた迫ってくる例のあれなぞ直視したくもない!
「あ」
「あ?
…て、ううぅぎゃ!?」
美鶴の声につられてテレビに目を向けると、ちょうど窓の暗闇に白い手が張り付いたところだった。
「阿呆美鶴なぜ声を上げる見ちゃったじゃないかああぁ」
「いや今のはつい出たっていうかとにかくわざとじゃないからちょ、抱き付くな」
美鶴の腰のあたりに腕を回していたが腕をぐぎぎ、と剥がされそうになる。みっつんてば冷たいよ。
びちゃ、とかとっても想像力を働かせたくない効果音が背後から聞こえる。テレビに背を向けても結局怖いことに変わりはないらしいですね!
「美鶴、今日もうお風呂入れないよ」
「あーそう入らなきゃいいだろ。ていうか聞こえないから静かにして」
「聞きたくないんだってば馬鹿ぁっ」
…結局は終始そんな感じで視聴し、終わる頃にはくっついていても騒がなければまあ剥がされなかった。
ついでに言うと怖くて離れたくありません。
「ホント風呂入れねぇわマジどうしよ」
「…キャラ崩壊を起こすほど怖かったのか」
風呂ってあれじゃないっすか。目ぇ瞑るわ独りっきりだわ危険がいっぱいじゃないですか。
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