はなし
□オヤスミ
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「せめて風呂のドアの前で待っていては下さらないか」
「…お前何歳だ」
「ひとりになりたくないの!」
ひとりだと怖がることしか出来ないが、ふたりなら…あれ?
「美鶴、お経覚えてたりしない?」
「アホか」
そんなこんなで風呂場のドアに貼り付けるのに成功しました(はしょり)。しつこさの勝利、とだけ言わせていただきたい。
「美鶴ー、いる?」
「あぁ、」
「ほんとに美鶴?」
「影響受け過ぎ」
「だって、さっきそんなシーンあったし…話してなきゃ怖いし」
「年下に頼るな」
「おら、男だろ!頼られろ!」
「………」
「…美鶴?」
会話がはたりと無くなっては感情を誤魔化せませんよ。
不安になった私はちゃっちゃとタオルを巻いて、ドアを開けて美鶴をチェックしに行った。
「みつるー」
「…な、は?!ちょ、どんな恰好で、!」
「タオル一枚」
「だから!」
三角座りで膝に頭を乗っけるようにしていたらしい美鶴は、ちらりとこちらを見た後にゴスンと音がなる勢いで頭を戻した。
「少しは気にしろ!人には男らしくとか言っといて、」
「美鶴に、気は使いたくないんだ」
「一瞬立派に聞こえるけど失礼な事言ったよな、男だと認める気がまったくないって事だよな」
「あーそうか男に見てもらいたい年頃だもんね」
「そういう言い方するなこっぱずかしい!」
しっしっと追い払われるように手を振っている美鶴がなにやら必死に見えたのと、今まで会話していたのが美鶴だと確認して満足なのとでまぁ、風呂場に退散することにする。また美鶴が黙ったら来てやろうと思いながら。
それとやっぱり一人で寝るのは怖いから、無理矢理でもひっぱりこんで一緒に寝てやろうと決意を固めていたりする。
ハグしてキスしてオヤスミナサイ
08.10.27