□夫婦喧嘩は程々に
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「タケ、悪ィ」

「あ、大丈夫です」





後ろから仲間達の「どんまい」の声がするが、今の青木の耳にはまったく届いていなかった





青木の頭の中は“あの和サンが、送球ミスをした”というコトで一杯だった






「山サン、スミマセン」

「あ、イヤ・・・良いけど」




後ろから本山の声がする


しかし、今の山ノ井には聞こえていなかった






山ノ井の頭の中は“なんで準太が投球ミスを?”という考えで一杯だった







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「ねー、なんか準太おかしくない?」

「今日の和サン、なにかおかしくありませんか?」

「山チャン、タケ、そんないっぺんに質問をしないでくれ」

「でもさ、確かにおかしいよな」





本山の返事に、みんなが一斉に頷く



「オレなんか、和サンと準サンに近付けなかったもん」

「そーいえば、利央今日はずっとオレと一緒に居たよね」




普段あの夫婦と仲の良い利央でさえも近付けない程の気迫であった




「しょーじき、迷惑」

「まあ、そーかもね」

「夫婦喧嘩ならよそでやれっつーの」







山ノ井が口に含んでいたアメをガリッと噛み砕く




その音が妙に部室に響く







「どーする?」

「どーするもなにも、仲直りしてもらわなきゃ、困るだろ」

「じゃあ、和己に聞くか?」

「和己ははぐらかすから、無理でしょー」

「そっか・・・」




みんながどうしたものかと頭を抱えていると、青木が何かを思いついたのか、ボソッと呟く



「・・・準太」





みな青木の呟きに納得する





「そーいえば、準サンが居たじゃん!」

「準太なら白状しそーだしな!」

「あ!じゃあオレ、準サンを連れて来ます!」

「あ、迅!オレも行く!」






そう言って、利央と迅は準太を迎えに行った



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