短編小説
□だから僕は。
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たとえこの心が壊れようとも。
『だから僕は』
「あ、茜!おはよー!」
笑顔で挨拶してくる愛しいキミ。
「おはよ。今日も無駄に元気だね」
「無駄とか言わないー」
可愛く頬を膨らますキミ。
「聞いてよ!彼ったら最近冷たいんだよ!?ひどくない!?」
そんな奴となんか、別れてしまえばいい。
「そうだね。でもきっと大丈夫だよ」
「そうかな?えへへ、なんか茜に言われると大丈夫な気がしてくるから不思議!」
単純。でもそんなキミも好きだよ。
「立花ー。お前今日当番だろ。道具資料室に返しといてくれ」
「えー!先生が持ってきたんだから先生が持って帰ればいいじゃないですかー!」
「悪い。先生この後用事があってだな、そんなわけでよろしくー」
「最悪ー。こんな重たいのか弱い女子に持たせないでよねー」
「手伝うよ」
「ありがと!さすが茜!持つべきものは親友だよね♪」
そう、僕たちは親友。
「そっちの重たい方持つよ」
「やっさしい〜♪あーあ、彼も茜みたいに優しかったらなー」
「彼、優しくないの?」
「全然。こないだなんて約束すっぽかされたんだよ!」
「それはひどいね。っと、着いたよ」
「ありがと♪とっても助かっちゃった♪」
「どういたしまして」
お礼は体で。
そんな事は口が裂けても言わない。
棚に荷物を戻すと掃除を怠っているのか埃が舞う。
窓から差し込む光が反射してキラキラと輝く。
窓辺にいるキミの長い髪もキラキラと輝き幻想的な世界が描かれる。
思わず目を背ける。
「戻ろうか」
「え〜。どうせあとHRだけだしサボっちゃわない?」
妖しく微笑むキミ。
……どこでそんな技を覚えたんだ。
ぐらつく心を何とか建て直しキミの手を掴む。
「ほら、行こう?」
「……はーい」
不満そうな顔をしつつも大人しく付いてくる。
もうちょっといたら危なかったかもしれない。
気をつけないと。