短編小説
□ぬくもり
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昼休み、同じ部署の子達とお喋りに花を咲かせる。
「ね、ね、高橋さんて、付き合ってる人いるの?」
「ん?いるよ」
えーいるんだぁいいなぁ私も欲しいー
そんな言葉を聞き流しながら香奈の事を思い浮べる。
……今頃何してるかな。
「ね、どんな人?カッコいい?」
「秘密」
えー教えてよー
教えない。香奈の可愛さは私だけが知ってればいい。
なんて、そんな事無理なのは分かってるけど……。
早く香奈に会いたい。
やっと仕事が終わった。今日は残業もなく定時で上がれたし良かった。
いつでも香奈の事を考えてる自分がいる。
行き帰りの電車の中、仕事中、果ては夢の中でも。
あの頃はこんな風になるなんて思わなかった。
でもいつからか香奈を目で追うようになった。
もっと香奈の事を知りたいと思うようになった。
香奈の心の闇を知った時、守ってあげたいと思った。
アタシが香奈を幸せにしたいと、思うようになった。
世間の目は冷たいけど、それに負けないくらい幸せにしてあげようと思った。
ねぇ、香奈、香奈は今幸せ?