短編小説
□小さな幸せ
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それからもう1ヶ月くらい経つけれど、会話した回数は数えるくらいしかない。
何を話していいか分からないから。
君を目の前にすると何も言えなくなる。
本当はもっと話をしたいんだけど……どうしても勇気が出ない。
嫌われるんじゃないかと思うと……臆病になってしまう。
君は同性を恋愛対象に見ることなんて考えたこともないだろうから。
だから、この想いはこのまま封印してしまおう。
もっと大きくなってしまう前に。
想いが届かなくたって、君とたわいもない話が出来るだけで、こんなにも幸せなんだ。
でも、もし、封印しきれなくなって、話をするだけじゃダメになったら……
勇気、出してみようかな……。
了